さらば楽園

*GL注意
*苦手な方は、ご遠慮下さい
*苦情は受け付けません





 貴女は、美しかった。
 私は貴女よりも美しい存在に出会った事がなかった。

 容姿はもちろんのこと、まるで聖女のような優しくいたわりに満ちた心に、鈴を転がしたように澄んだ声。漆黒の髪は、絹糸のように滑らかであった。
 一方私は、貴女のように美しくもなければ、優しくもなれず。所詮は美しい花の回りにうごめく雑草にしかならなかった。

 貴女のようになりたいといくら切望しても、私にはそうなるべき手段も構えも足りなかった。


 貴女はみんなに好かれていたけれど、貴女は誰も好いてはいなかった。その笑顔の裏にある真実を知った時、私は身震いしてしまったのだ。



 私が、貴女の一番になれるかもしれない、と。






 愚かで浅はかな考えでしかないのはわかっていた。

 わかっていても、そうあれるかもしれないという期待は何にも増して、私の中で輝き続けたのだ。


 私なんて、貴女からしたらただの取り巻きの一人にしか過ぎないのはわかっていた。いや、取り巻きにすら成れていなかったのかもしれない。
 私は貴女に気に入られようと頑張った。
 頑張って貴女の前では良い子を演じ続けたのだ。



 ただ、貴女に近づきたくて。



 結局、私の浅はかな想いでは貴女の懐に入ることなど出来なかった。

 そうして、私たちは女子校を卒業し、別々の進路へとその舵をとる。
 貴女を追い掛けることも出来ない事ではなかった。しかし、貴女の私へ向ける蔑みの視線に耐えることが出来なかったのだ。

 貴女は何処までも美しく、また孤高であった。
 私は、そんな光にまとわりつく蝿。
 貴女は私を厭い、私は貴女のそんな想いに気付いてしまい近寄ることが出来なくなってしまった。



 所詮は一時の感情でしかなかったのかもしれない。


 でも。


 でも、その時は確かに私は、貴女に恋をしていた。


(そうして旅立つ君の背中を
はただ見ていた)




……
GLってみた。
きっと色んな切っ掛けを経て、少女は女性になっていくのだろう。

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