ディオスコロイ計画 小説 | ナノ
正と負の物語【Sixth】
何故あいつだけが幸せなのか。
何故俺だけが不幸せなのか。
あいつと俺は同じ日に生まれた、いわゆる双子。
だが、あいつと俺は双子と言っても全く似ていない。
二卵性だから当たり前と言えば当たり前だし、なにより、俺は男だけどあいつは女だからだ。
そして外見だけじゃなくて、内面も全然違う。
なんでも容易くこなすあいつと、いつもどこか間違える俺。
双子だから余計にその違いが目立って見えたのだろう、親はあいつばかりを可愛がり、俺はいつも叱られてばかりだった。
何故同じ日に生まれたのに、同じようにできないのか。
何故同じように育ったのに、同じようにできないのか。
とにかく親は、俺を叱りつけることしかしなかった。
俺が、俺という一人の人間であるということを理解してくれなかったのだ。
両親にとっては、俺とあいつが同じようにできるのが普通だった。
ただ、双子だという理由だけで。
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