ディオスコロイ計画 小説 | ナノ



内と外の物語【Second】


 昔から君だけは、私の味方だったんだ。




 生まれたときは何にだって成れたはずの私たちは、次第に個々のラベリングと概念に包まれる。私たちにとって其れが、一番初めに訪れる後悔の欠片ではないだろうか。
 其れを繰り返して、私たちは、二度と脱げない鎧を作り上げる。



 堅い、硬い、固い。



 その鎧は他者を決して受け入れさせない。自己を守るための、無意識化で行われる絶対防御。
 意識化してすら脱ぐことは適わない。

 私たちは、そうやって初めて他者との関わりを持ち始めるのだ。



 私もそうなるはずだった。何一つ変わることなく、何一つ違えることなく。
 特別を望む子どもはそれを否定し、自分は違うのだと謳うが、それこそが何よりも他者と同じであり、思い込みである。

 それが、一番いいのだ。違うことは魅力的に見えるかもしれないが、結局は茨の道にすぎないのだ。



 わかっている。
 それでも私は、他者と同じであり、違うのだと。


 私にも同じようにたくさんの鎧を着重ね、おそらく其れは、他者に比べて厚く、強いものだろう。
 しかし私にはその鎧の内側に君がいた。






 そう。
 私には、君がいた。





 幼いときからずっと一緒だった。気付いたらいつも隣にいた、私と瓜二つの少女。
 私が悲しいときは一緒に悲しんでくれ、私が嬉しいときはまた一緒に喜んでくれた。
 それは私が未だ自分自身をラベリングするより遥か前から、私と同一だったのだ。




 言葉通り、同一になったのだ。


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