空を見上げて 本章 | ナノ



4.5


幕間



 私は、これでよかったのだろうか。
 自信は無いんだ。

 テノールもバスも決して悪い者では無いということは、話していてある程度感じ取れた。
 感じ取れたからこそ、私になどに付いてきて、その未来を奪ってしまうかもしれない事が怖いんだ。


(メゾがそんな事を感じるなんて、初めてだね)


 ……うん、そう。 そうだな、今までこんなこと考えた事なんて無かった。
 だって、怖いだなんて考える対象がいなかったんだから。



 私にあったのは、この躰と貴方だけ。



 だから、私が誰かの未来に干渉してしまうだなんて思ってもみなかったんだ。

 私は確実に命を狙われるだろう。
 聞いた話によると、私が領主の後継者候補に正式に加われば、それによる後妻の損害は多大なものになるのだという。

 そんな不安定な行き先、二人の命が無事である保障なんて何処にもないんだ。
 むしろ……


(それでも、彼等は選択した)


 ……ああ、わかっている。 全ては彼らが選んだ事だと言う事は。


(もうおやすみ、メゾ。 どんなに悩もうとも、他人の選択は変えられない、変えてはいけないよ)


 ……うん、おやすみ。 また明日、貴方の下で生き続けるから。


 ……どうか、見守っていて。

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