8.5
幕間
人とは、不思議なものだな。
貴方が大切に想うのも分かったような気がする。
(思い合う美しさを、ようやく知る事が出来たね) ……うん、そうだな。
そうやって互いを思い合う事が出来たのなら、誰も苦しみを抱かなくても良いのかもしれない。
でも、それでも。
それでも私たちは、互いを思い合う事が出来ないのだから、なんて愚かなのだろう。
(其れも、一つの魅力だ) ……そうなのかもしれない。
でも、私たちは愚かで、疑いあって憎みあって、また愛し合いながら、輝ける生き物なのではないだろうか。
(変われたね、メゾ。 君は、塔にいた頃とは違う) ……ふふっ。 そう思うのか。
貴方は何時でもそう言ってくれるから、だから私は生きてこれたんだ。
……うん。
貴方の紅は、本当にいつも美しく儚い。
だからこそ、私は貴方を慕い続けられる。
もうすぐ、貴方の光は見えなくなってしまうけれど、貴方という大きな存在は感じ続けられるから。
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