ココロ(切仄) |
『ねぇ、父上』 「なんだ?白楼よ」 『父上は何故僕の名に白の字を入れたの?僕は白くないよ?』 「それはお前が立派に育ったら分かる」 『立派に?僕が?父上みたいに?』 「ふ、私は立派か?」 『父上は立派じゃないの?』 「白楼よ、お前は私より立派になるのだ。お前の母も、そう願っている」 『ねぇ、父上』 「なんだ?」 『母上は、どこにいるの?』 『…………夢か』 銀がいない夜は、嫌な夢ばかり見る。 もう顔すら覚えていない父、姿を見た記憶すらない母。 父は母の話をする時、必ず僕にすまないと言う…、昔の自分は意味など考えなかった…ただ、何故謝るのだろうと思うだけだった。 父は僕がいつキュウコンになっても良いほど成長した時に、母のことについて…全て話してくれた。 母は自分が産んだ子…つまり僕が、異色だったことがよほどショックだったらしく、すぐに僕を捨てようとしたそうだ。 父は命を軽く捨てるものではないと説得したようだが、母はショックのあまり自制心を失っていたらしく。 狂ったように家を荒らした挙げ句、出て行ったそうだ。 初めてそれを聞いた時は母を恨みそうになったが、父は「恨みからは何も成されない」と僕を諭した。 父は…父上は立派だった。 『父上の毛並みは、太陽みたいに金色でキラキラしてるね』 「太陽か…。では、立派になった白楼は、月の光のような白銀の色に輝くだろうな」 『僕は父上と違う色なの?母上は僕と同じじゃないの?』 「違っていても、白楼は白楼だ。お前と同じ色の仲間にもいつか会える」 『同じ色ー?綺麗?』 「そうだな、綺麗だったらどうする?」 『僕、綺麗な人をお嫁さんにする』 「はは、白楼の目標は白銀の美人か」 『うん、それでね……優しく抱きしめてもらうの、…みんなが、母上様にしてもらってるみたいに…』 「………そうか」 END 白楼が銀月夜さんに甘える理由(´−`) そしてなんだかんだ言っても父上を誇りに思っている白楼ー。 |