隼悠

・新開兄弟、隼人くんはゲイだから悠人くんを男の子として抱くけど悠人くんは隼人くんに女の子として抱かれたい話

・悠人くんのキャラがいまいち掴めてない

・悠人くんに少女願望があることを隼人くんは知らない

・この兄弟くっそすき



隼人くん。
俺の兄貴。
元箱根学園四番、愛車はサーヴェロ。
現在は明早大学に在籍。
ご飯はよく食べる。
そして、皆が知らない世界の人しか見てない隼人くんの一面―
隼人くんは、同性愛者だ。


ずっ、と。
嘘みたいに熱い体の奥深くを穿つようにえぐられて、背中がのけぞる。
自然と口から零れ出た女の子みたいな嬌声は、重ねられた隼人くんの唇に飲まれて消えていく。
ぬるぬると舌が絡まって、何度も何度も角度を変えて、そのたびに間近で俺を捉える獣みたいに荒々しい瞳に見つめられて、どうしようもないくらいに高ぶる自分を抑えきれない。

「かーわい、悠人」

「は、やとくん、はやと、くん、っ」

わざと耳元で響いた、ぞくぞくする優しい低音に反応して、イイとこを突き上げる隼人くんのを締め付けるのが自分でも分かる。

「ッ悠人、締め、すぎ」

「だって、はやとくんの、ぁ、おっきいからぁ…!!」

ああ、最高。
俺の大好きな人の部屋で、俺の好きな人とセックスするこの幸せは、何物にも代え難い。
こうして甘い言葉を囁き合って、快楽を分け合って。
そこに理由なんて要らない。説明も、答えを導くための解説も、何一つとして要らない。
本来なら言葉なんて要らないんだ。
ただ自然と出てしまう声だけを出してればいい、下手に会話するよりずっとそっちの方がいい。
だからね、隼人くん。

「女の子みたいだなぁ、悠人は。
こんなにかわいい俺の弟なのに。」

俺、その言葉だけは言ってほしくないんだ。
俺に少女願望があることを知っているのは、世界で俺一人だけだ。
誰にも話したことはないし話すつもりもない、理解が得られない趣向であることは分かっているし、何より下手にばらして隼人くんに嫌われるのが怖い。
けど。
それでも、辛いものは辛い。
弟、たったそれだけの単語が俺をどうしようもないくらいに理想から突き放す。
きっと隼人くんは、俺を男の子として見てセックスしてる。
それが正しいっていうことは、誰よりもきっと俺自身が理解してるし、女の子として見てくれなんて言うつもりもない。
世界出たった一人の兄弟を恋人にしたその罪悪感を共有する身で、隼人くんの行為をとがめられるほど、俺は強くなかった。
だから俺は、女の子みたいな声を上げて。
女の子みたいに腰を振って。
女の子みたいに、ただただ隼人くんに尽くす。

「すき」

「…悠人」

限界に押し上げられる体、溶ける、溶かされる思考回路。

「はやとくん、だいすき」

「俺も」

優しく重ねられた唇、同時に注ぎ込まれた熱い飛沫で俺の中に何かが宿るわけではない。
悔しい。
何で俺は女の子じゃないんだろう、何で俺には子宮が無いんだろう。
何で俺は、女の子として生まれられなかったんだろう。

「悠人、もっかい」

「やだ、も、むり…」

「まだいけるだろ?」

いける、じゃなくいかせる、の間違いじゃないのと言葉に出す前に、さっき欲を吐き出してまだ入ったままの隼人くんのが内側から俺を攻め立てる。
入り口近くを頭がおかしくなるくらい擦られて、数えるのを諦めるくらい吐精して、それでもなお萎えない俺も俺だ、けどやると決めたら止まらない上にこっちの心情を欠片も察してくれない隼人くんも悪い。
結局俺はこの快楽を捨てきれないから、女の子として見てもらえなくても隼人くんに抱かれているのだ。
ああ、かわいそうで、世界一バカな俺たち。
俺が抱く理想は、きっとまだまだ手の届かないほど先にある。





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