荒←黒

・黒田くんが荒北さん大好きすぎて積極的な変態です

・荒北さんは黒田くんを後輩としてしか見てないけど黒田くんは荒北さん好きすぎる病気

・久々の中途半端なえろ(半年ぶりくらい)で極度の文章崩壊

・自慰だけですが一応R15


あの人が好きだった。
大事なレースの前は誰よりも高ぶっているくせに面倒くさいと嘘を吐くところも、必死にエースをゴールへ、誰よりも早く送り届けるために必死になるその性格も、全てに憧れて、そして全てを好きになるまでにそう時間はかからなかったように思う。
羨望の履き違えだとかそんな可能性を頭の隅に置く余裕さえなく、正に身を焦がすような恋情に突き動かされるままに勝手にあの人を妄想という名の油性インクで汚し尽くす脳内キャンパスを破り捨てたくなる夜なら数え切れないほど過ごした。
自分と、自分自身の理性と何度の戦いを繰り広げ、辛うじて勝利を掴み連勝をキープしても、それがいつまで続くか、不安になった回数も数え切れない。
だから俺は、荒北さんに危害を加えないように、迷惑をかけないように、今日も今日とて頭のおかしいと言わざるを得ない日課をこなすのだ。『ハイハーイ?』

「おつかれさまです、荒北さん」

『最近毎日だよネェ、何ナノ?』

「あ〜、ちょっと聞きたいことがあったんで」

毎日じゃない昨日は我慢した、と言い訳にならない言い訳で自分を納得させながら、乾いた口内から気軽に嘘を絞り出す。
一昨日の口実は学校の課題だった。
その前は部活関係の話、その前は自転車のフォームの話。
さて今日はどの話で何分保たせようか。
必死に頭を回しながら、着ているジャージをずらして既に若干の反応を見せている一物を取り出して上下に擦れば、すぐにそれは硬度を増した。

『ナァニ?俺疲れてんだけどォ』

「可愛い後輩のために少しだけ頑張ってくださいよ、明日の練習についてです」

『明日ァ?俺は外周がメインって聞いてるケド?』

「あー、やっぱり。なら明日久々に勝負しません?」

『…ハッ!どうした黒田ァ随分やる気じゃナァイ!』

ああ、この声だ、この勢いだ。
荒くなる呼吸をなんとか抑えながら、それでも右手は快感を追い求めてぬめる先端を集中的に攻める。
加えて荒北さんとの電話口でバレないようにこうして欲を発散させるスリルも相まって、既に開発してある後ろまで疼いてきた。
衝動を抑えきれずに、半年前に購入して以来愛用しているバイブをベッドの下の箱から取り出す。
軽く先走りを絡めて慣らしてもいないはずのそこに堅いそれを沈めていけば、あっけないくらい簡単かつスムーズに挿入は完了した。
切れるか切れないかの瀬戸際、ナカが圧迫される快感を受け止めて震える体を床に横たえてスイッチを入れれば、途端にがくがくと足が、腰が震え出す。
犯されたい、この人にめちゃくちゃにされたい。
組み敷かれて、縛られて、噛みつかれて、最後の一滴も残らないくらい全部全部奪ってほしい。

「っ、絶好調なんですよ、最近」

溢れ出しそうな感情を必死に押さえつけて紡ぎだした言葉は自分でも僅かに震えているのがわかるくらいギリギリだった。
いつものように俺の大好きな低い声でいいゼと返事をする荒北さんは、きっと何も気づいていない。

『じゃあ明日だな、ちゃんと寝とけよォ?』

「言われなくても寝ますよ、おやすみなさい。」

『オヤスミィ』

あっけなく通話は切れた。

「っ、あらき、たさん、ん、あ、っ!!!」

それとほぼ同時に白濁を吐き出し脱力する上体をなんとか起こして、入っていたバイブをゆっくり取り出した。
ずる、と腸液にまみれたそれの処理を考えながら立ち上がり窓を開ければ、10月を過ぎた冷たい風が火照った頬を撫でる。

「…馬鹿か、俺」

興奮はまだ収まらない。
今日眠れるかどうかすら怪しいような熱に身を焦がされたまま、通話履歴の「荒北さん」の文字を凝視する俺の欲望は、一体どこまで進化するのだろうか。
際限なさそうなそれにため息をついて、ひとまず第二戦に突入するための準備を始めた時刻は、午後22時30分だった。





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