新黒

・新開隼人×黒田雪成

・マイナーとか言っちゃいけない





いつでも体温の高い体はいつ触れても安心する。
新開さんだけが持つ匂いに包まれながら過ごす時間は俺の宝で、同時に一番切なくなる時間でもあった。
この温もりを感じる度に、この存在に心癒される度に思い知らされる。
新開さんたち三年生の先輩方がここ箱根学園に居られる時間はもう残り少ない。
せめて俺がもう一年早く産まれていれば、なんて妄想に近い想像をいくら脳内で繰り広げても現実は変わらない。

「雪成」

爽やかで、それでいて深く染み渡る声に心を溶かされる。
顔を上げて視線を絡ませればもう次のステップに進むのにそう時間はかからないし無駄な言葉も必要ない。
重なった唇、どちらからともなく絡まる舌はぬるりと触れあうだけでぞくぞくとした感覚が背筋を走る。

「ふ、ぁ」

「どうした?」

気の済むまで口内を虐め尽くした舌が離れると同時に耳元で響く、思考回路を乱す声がずるい。

「ずる、いです」

「そうでもないよ」

褒めてないです、と反論する間もなく何も言わずにシャツのボタンを外す指先も、血がにじむほど強く気持ちよく首筋に噛みつく犬歯も、何もかもがずるい。
せめてもの抵抗にさらりと指を通るオレンジ色の髪の毛を弄びながら、俺の中のこの人には一生かなわないという確信はますます強くなるのだった。




でもきっと新開さんの中で黒田くんはセフレと変わりない立ち位置で新開さんの本命は荒北さんっていう設定だとおいしい

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