新荒

・新荒

・付き合ってる



男二人で眠るダブルベッドはなかなかに狭苦しい。
寝相が悪ければ睡眠中で無防備な顔面にお互いに綺麗な右フックを炸裂させる可能性も生まれるような状況で、しかしここまで安心して眠れていたのは俺たちの間にある信頼の厚さが成せる技だろう。
早朝4時。
疲れ果てていたはずなのに何故か目覚めてしまった中途半端な瞳でカーテンの隙間から見る空はまだ暗く深い。

「…靖友」

返事はない。
整った寝息だけが響く室内で、俺の隣で眠る靖友はまだ夢の中だ。
一切を纏わず、シーツだけを被って眠るその横顔からは、いつものような野獣の雰囲気も伺えない。
つい4時間ほど前まで繋がっていたはずなのに無性に熱と優しさが欲しくなって、いたずら半分に靖友に覆い被さる。
閉じた瞳、細い体つき、さっきつけた首筋の赤い跡に口づければ、少しだけ寝息が乱れるのが聞こえた。
起きてはいない、はず。
面白くなって晒された胸元に舌を這わせれば、投げ出された手足がびく、と震えた。
さすがに睡姦の経験はない、がやってみたいかと聞かれれば素直に頷くのが男ってもんだと俺は思う。
「ごめんよ靖友」

謝罪は済ませた。
深く重ねた、少しだけ開いた唇は冷たい。

「しんか、っ!?」

ぬるりと入り込んだ舌に反応したのか、至近距離で見開いた靖友の驚いた顔が更に愛しくて、両手で滑らかな肌を撫でながら息を荒げつつ食らいつくように靖友の全てを感じる。
吐き出した空気を飲んで唾液を送り込んで、舌を吸って噛んで下半身に手を伸ばして。
与えられる最大の快感を与えるように触れれば、靖友はもう声を上げることしかできなくなる。

「しんかい、しん、かい…!!」

「可愛いなあ、靖友」

「ざっけんな!
朝っぱら、から、サカってんじゃ、あ」

「それは靖友も同じだろ?」

勃ちかけている靖友のそれにゆるゆると手をかけながら囁けば、うるさい、と抗議するように投げかけられる視線。
それも飲み込んで抱きしめた体温は暖かく俺を満たしてくれた。





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