文スト 短編 | ナノ
 君愛/おっぱいの日

「お、治く、どうしよ…っ」

──千尋から泣きそうな声で電話がかかってきたのは、如何に仕事をサボろうかと考えていた時のこと。
電話越しでもわかる切羽詰まった声に怒りに震える国木田に届を叩きつけて帰宅したのだが。太宰を出迎えたのは、朝見た時よりも大きくなった胸を困ったように手で押さえている千尋だった。

「………どうしたの、それ」
「な、なんか急に………」

零れてしまいそうな胸は家にある服では収まらなかったようで、ベッドの上に座り込みワイシャツを羽織って胸を手で隠しているだけの姿は酷くそそられる。
けれど今の状態──千尋自身がパニックに陥っている状態で手を出すと後から怒られてしまうのは目に見えているので、太宰は努めて真面目な顔を作りながらベッドに近付いた。
ベッドの縁に腰掛けると、そっと千尋が太宰に近付く。それから少しばかり恥ずかしそうにしながらも、たわわな胸を太宰の目の前に晒した。

「どうしよう」と半泣きになっている千尋を見るのは随分と久し振りな気がする。最後に見たのは太宰がマフィアにいた時で、セクハラしてきた上司をぶん殴った時だったか。なんて過去に思いを馳せつつ今にも手放してしまいそうな理性を引き留める。
素手で触れた千尋の胸は矢張り普段よりも大きく、そして重く柔らかい。太宰の手からも零れてしまいそうなそれの触り心地を堪能しながら事態の収拾の為思考を張り巡ら始めた。

「私が触っても治らないってことは異能力ではないのか…それとも異能力者本人に触れなければ解除されないのか…ふむ…」
「ぁ、あの、治くん…」
「なんだ、い……」

思考の海に沈もうとしていた太宰の意識を引き上げたのは千尋の声だった。何事かと彼女の顔を見れば瞳は潤み、口からは甘い吐息が零れつつある。

「その、…揉むの、」
「ああ、ごめんごめん。つい」

どうやら太宰が考え事をしている間もずっと胸を揉んでしまっていたようだ。…確かに硬くなっている胸の飾りが太宰の手に触れている。
もじもじと太腿を擦り合わせ、体を揺らす千尋を見て太宰は口角を上げた。ふむ、成程。これは事態の収拾を急ぐよりも楽しんだ方がいいかもしれない。

「それにしても」

わざとらしく声を上げる。
楽し気な感情が声に乗ってしまったことに気が付いたのか、千尋がそろりと太宰を見上げた。

「ねェ、千尋。大きくなって感度が上がったね?」
「っ、う」
「そんなに蕩けた顔で、甘い声を出して」

きゅう、と固くなった乳首を抓ると、とうとう我慢できなくなったのか千尋の口から甘い声が零れていく。体を小さく震わせ、太宰に凭れ掛かってくる千尋。普段の彼女ならば胸だけでこんなに感じることはないのだが、大きくなった所為で過敏になっているようだ。

「折角大きくなったのだし…原因がわかるまで、楽しもうよ」

胸が大きくなったからこそ出来ることもあるだろう。楽し気に笑う太宰に千尋が小さく頷いたのを見て、そのままベッドに押し倒した。

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