1周年番外編リクエスト | ナノ

観察者Kの狼狽

※黒子が腐男子です
※黒子が紫氷を妄想しています
※キャラ崩壊注意(特にどっかのK君)



















いちゃつくのが許される人種は存在します。







観察者狼狽

〜妖精系巨人M君とエレガントヤンキーHさんの場合〜







「まあ、俺はゲイじゃないんだけど」

「ぐふっ」

「黒ちん? 大丈夫ー?」

わかってますよわかってるんですこれが失礼極まりない妄想だってことはでも思想の自由は尊重されるべきだし人様に迷惑は掛けてませんし現実よりも想像の世界の方g「黒ちんどしたのー?」

「大丈夫です紫原君……」

く……妖精さんの優しさが傷口に染みます。

里帰りしてきた紫原君から連絡をもらい、待ち合わせをしたマジバに向かえばなんと氷室さんまでいるではありませんか。なんでも紫原君についてこちらに来たのだとか。恋人の家族に挨拶に来たんですねわかります、とか思ってたさっきの自分のなんと幸せだったことか。

氷室さんと言えば帰国子女、帰国子女と言えば氷室さん、ということで(火神くんはあれです、もっと別な存在ですから、ええ)、外国のそういう恋愛事情というかそっち関係のそれをさりげなーく、あくまでさりげなく訊いてみたら、最後にものすごい爆弾を落とされました。

恐るべしハイスペック兄貴……締めるところはきっちり締めるという完璧ぶり。

でもいいんですよ別に。所詮妄想だってわかってますから。わかってますから……!

「大丈夫かい?」

「あ、はいお気になさらず……」

「そっか、それなら良かったよ。あ、あと蛇足だけど」

心臓を押さえて苦しむ僕に、氷室さんが小さく微笑む。その流し目どうやったらそんなに色っぽく出来るんですかけしからん。

「そういう趣味はないけど、対象外も、いたりはするよ?」

「…………!!」

これが漫画だったなら、今僕の背後にピシャーンとベタフラ(※ベタフラッシュ)が入っていたはず。

対象外……!? 対象外? え、マジで? まさかのリアル? 僕のような矮小な存在では考えもつかないようなガチの世界が今、ここに……!?

「……黒ちん、ポテトちょーだい」

「え? あ、はい。どうぞ。好きなだけどうぞ」

僕はなんかもうお腹というか胸がいっぱいだったので向かいの紫原君に差し出すと、大きな手でもそもそと食べ出す。なんか機嫌が悪い気がするのは何故なんでしょうか。今君の隣のイケメンが告白かましたんですよ? 嬉しくないんですか嬉しいですよねそのはずですよね。

「拗ねるなよ、アツシ」

「……意味わかんないし」

あ、僕ばかり氷室さんと話してたから拗ねたと、そういう? 何それ独占欲強いのとか大好物ですありがとうございます。

「大体室ちんとかオマケじゃん。俺が黒ちんと会いに来たのにさあ」

「ごめんって」

「すみません紫原君邪魔をするつもりはなかったんです」

「はあ? 何言ってんの黒ちん」

おっと口が滑った。彼の照れ隠しを無駄にしてしまいますね。

「黒ちんってたまーに変なこと言うよねー……ねー、それも一口ちょーだい?」

唇を尖らせた紫原君(二メートルのくせにかわいい)は僕のシェイクを示してきました。なんたること。普段なら頑として渡さないのですが、萌えを提供してくれたお礼に渡すべきなのか。

僕が逡巡していると、紫原君があざとく尖らせていた唇にずいと隣から四分の一ほど減ったアップルパイが。

「まあこれで我慢しなよ、アツシ。美味しいよ?」

――あーん、だと……。

カップを持つ手がわなわなと震える衝撃。今ここでは瞬きをすることすら大罪な気がします。

「……室ちんってこういうとき心狭いよねー」

「妥協できないタイプなんだ、俺」

ざくっ、と紫原君がパイをかじった様を網膜にばっちり焼き付けたかったのですが、あんまり見過ぎてもダメなので我慢。耐えろ、僕……!

紫原君がかじったパイを普通にまた食べ始めた氷室さんにどうしてそんなにナチュラルなのか普段からあーんしてるんですかと問い詰めたい。

「君もいる? シェイクと一口交換で」

「え?」

にこりと愛想のいい笑みでアップルパイを差し出され、束の間僕はぽかんとしてしまいました。

氷室さんもシェイクが飲みたかったんでしょうか。いやこれは、まさか。

一人にあげたのでは不自然だから、もう一人にもあげて誤魔化そうと……? もしかして僕はハイスペックなリアル恋愛(禁断)の世渡り術に組み込まれようとしている……!?

そう思うと萌え過ぎてじわじわと顔に熱が。というかちょっと涙目かもしれません。

「……す、みません。今ちょっと、お腹いっぱいなので…」

嘘はついてませんよ、嘘は。

なのに向かいの二人とも固まっているので、何か場違いなことをやらかしてしまったかと狼狽えてしまいました。

「あ、あの」

「――え? ああ、いや、なんでも」

「……黒ちんやっぱシェイクちょーだいー」

「アツシ、駄目だから」

何なのかよくわかりませんが、取り敢えず他の男との間接キス阻止の瞬間をいただきました。













今日の観察結果:

あーんは一部のリア充には公共の場でも許される。













(室ちんってほんと油断も隙もないよねー)

(俺は妥協もしないけど、本気になったら遠慮も出来ないんだよ)

((互いに束縛強めとかヤバい妄想広がる))



















 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

>>浅葱様

大変お待たせ致しました、管理人の凍です

随分長い期間お待たせしてしまって、申し訳ありませんでした

今回どんな風に書くかとても迷ったのですが、このような形になりました

恐らく氷室さんは黒子君が腐っていることをうっすら気づいているのではと。紫原君は逆に些細なことはどうでもいいと豪気に接していると思います

そんな二人を書かせていただき、ありがとうございました

それでは、この期に及んでですがこれからもお付き合いいただけたら幸いです。ありがとうございました!


2015/02/06

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