コンフリクト・ファミリー
くるくるとケチャップを纏ったパスタが銀のフォークに絡め取られてゆく。
「いやーにしてもさっきのはウケた」
「全力の営業スマイルで『5名様ですか?』だもんな」
和風ハンバーグを切りながら山崎が渋い顔をした。原は笑いながらナポリタンを口へ運ぶ。
「黒子がやっと見えた途端凍ったよな、スマイル」
「集団の後ろなら言い訳出来たけど目の前だからな」
「僕は慣れてます」
ドリンクバーのジンジャーエールに刺さったストローを噛み、瀬戸が苦労してんなと黒子の頭に手を置く。すぐに花宮が叩き落とした。
「瀬戸ー、ピーマンあげる」
「いらねーよ! 古橋、お前地味に唐揚げのレモン取ってんじゃねーよ返せ」
「小さい男だな」
平然とサラダにレモンを絞り、よれたそれを瀬戸の皿に戻す。
「お前らうるせーよ、黙って食え」
コーヒーをストローでかき混ぜながら眉をひそめる花宮の隣で、黒子は懸命にグラタンを吹き冷ましていた。
「黒子って猫舌?」
「熱いのはちょっと苦手で」
「それが猫舌だろ」
はふはふとマカロニを頬張る黒子に山崎が水を押しやる。原はフォークをペン回しの要領でくるりと回した。銀色の表面に、その笑顔がひずんで映る。
「美味しい? グラタン」
「熱いですが美味しいですよ」
「じゃあ一口」
あーん、と形のいい唇が開く。両脇の山崎は大根おろしを自分のグラスに落とし、古橋は天ぷらにぐさりと箸を突き刺した。
「どうぞ」
「…………」
「口開けてるやつに対して皿押しやるとか、やるなお前」
「え?」
瀬戸に視線を向ける黒子に対し、原は主張するように身を乗り出した。
「あーんしてよ」
「どうして男子高校生同士でそんな虚しいことを…?」
「引くなよ」
「お前の元同級生の方がひどいだろ、いろいろ」
「否定はしません」
呟いた花宮の方を見ずに頷いた黒子は、仕方なさそうにマカロニをすくう。
「はい」
「やった」
楽しそうに笑って、意気揚々と口に含む。
「あっつ!」
「だから言ったじゃないですか」
原も恐る恐る熱の閉じこもったマカロニを噛みながらグラスの水を飲み干した。
「うわ、これ何か入ってんだけど」
「さっき大根おろし落としちまったからな」
「まじかよ山崎ふざけんなよ」
「まず人の水飲んだことを謝れ」
仲がいいな、と先輩を観察しながらマカロニを吹き冷ましていると、ふと爽やかな香りがした。
「花宮先輩、バジルソース好きなんですか?」
「まあな」
香ばしく焼けたチキンにナイフを入れ、ソースをたっぷりと付ける。コーヒーといいバジルといい、香りのいいものが好きなのかもしれないな。そんなことを分析する黒子を花宮がちらと見た。
「食うか?」
「後でやらないとか言いません?」
「言わねえよ」
フォークに差した鶏肉が、口元に突き付けられる。
「ほら、口開けろ」
「…………」
やらないと言われた方がましだったかもしれない。
ソースが付いたナイフの銀色に、楽しげな笑みが映り込んでいた。
コンフリクト・ファミリー ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
>>遊李様
ゆうちゃん、大変お待たせ致しました!
そしてお誕生日おめでとうございます(こそっ
リクエストご参加ありがとうございます
あーんしてもらう原さん書いてみました……色気も何もあったものではないですが←
霧崎は身内は結構可愛がるタイプかなと思っているので皆後輩かわいいかわいい状態です
過保護に黒子君はそんなに気付いていない気もしますが…
因みに各人のメニューは偏見です、私の
これからもサイト共々仲良くしてくださいませ
ありがとうございました!!
2014/08/25