唇→愛情
※レッドとグリーン※




 グリーンの唇を舐め上げるのが好きだ。

 その少しカサ付いた焦げ茶とも言えない皮膚の、端から端までをソッと舌で辿る。じっくり、上下とも。その間に彼の鼻から少し生温い空気が抜ける度に、俺の鼻に温かさが移る。俺の与える刺激に反応して震える首筋も愛おしい。ソファに座りながら、彼を俺の上に乗せて、後頭部を片手で鷲掴みにして顔を引き寄せている。
 自然と、笑みが浮かぶ。


 彼が嫌がっているからこそ、大好きだ。


 気持ち悪そうに眉間に皺を寄せ、強く目を瞑る様が溜まらない。だから俺は止められない。それこそ彼が生きている限り続けてやろうと思う。そんな俺のことを彼も良く分かっていて、それでも拒絶しないのは。

 彼が、僕に、愛情があるからだ。
 と、信じて疑わない。

「お前って、ほんと変」

 しっかり彼の唇を唾液で濡らした後。
 そんなことを言うものだから。
 グリーン。君の方が余程知っているだろう?
 と、目で訴える。
 笑いたくってしょうがない。グリーンは俺のことをまるで汚いモノでも見るような目で眺めていた。
 それがまた、俺にとっては愛おしいのだ。
 グリーンは、俺のことだけを、そういう風に見る。
 俺だけの特権じゃないか。

「グリーン」

 呼んで、今度は彼の口に舌をネジ込んだ。
 

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あとがき
 泥沼から抜けられない

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