絶対分かってねぇな
about≫トウヤについて
「N。バレンタインって知ってるか」
「ばれんたいん? なんだいソレ」
「大昔に、男女の結婚を認めなかった時代があったんだ。その時にバレンタインって名前の司教がさ、結婚式を上げたいって願う男女の気持ちを汲んで、秘密で結婚式を上げてたんだ。それが見つかって処刑されたって話があるんだけど」
「どうして結婚を認めなかったの?」
「戦争のせいだってよ。男は争いに駆り出される存在だったから。そうやって結婚式なんてあげて残してきた妻のことを考える兵士が増えたら士気が下がる、とかって言って禁止したんだって」
「へぇ。妙な時代もあったんだね」
「その司教が処刑された日が今日なんだよ。だからこの日は恋人同士が愛を誓い合う日になってる。特にチョコレートを女性が男性に渡したりするんだ」
「そこで唐突に出てくるチョコレートが謎だけど」
「ただのお菓子会社の陰謀だ。気にするな」
「でも。僕とトウヤってどっちも男じゃない。こういう場合はどうするの」
「同性同士の場合は特別に別の特典があるんだ。とりあえずN、市役所行こう」
「え」
「カノコタウンの行事の一環なんだよ。婚姻届貰いに行ったらついでにチョコレート貰えるんだ。役所の人から。しかも女性」
「あ。そうなんだ」
「紙を一枚貰うだけで女の人からお菓子貰えるなんてお得だろ? 早く行こうぜ―」
「今から行くの?」
「おう。俺先に出とくから。準備出来たら来いよ」
「分かった」
(こんいんとどけって。なんだろう)
(あの顔、絶対分かってねぇな)
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疑問符浮かべたNと顔真っ赤のトウヤ
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