そうでもないよ
about≫ヨシノリについて
「ヤスタカくーん」
「っんだよ」
「嫌悪剥き出しの応答ありがとう」
「業務終了間際に何の用だ」
「あ。リーダーはまだ書類作業?」
「お前にリーダーの様子を報告する義務は無い」
「つーれないの」
「当たり前だ。お前とこうやって話す時間が俺の人生にとって最大の無駄」
「そこまで言わなくても良いじゃん。同じジムトレーナーなのにさぁ」
「そんな風に思ったことは一度も無いね」
「え、それってつまり」
「他の人にとって俺とお前がトキワのジムトレーナーって括りにされることすら反吐が出る。お前はそこら辺に止まってるハエと一緒だ。いや。ハエにも失礼だった」
「なんだ。恋人とか言ってくれるかと思ったのに」
「止めろ虫唾が走る」
「そんなヤスタカくんに俺からプレゼントふぉーゆー」
「いらない」
「見る間もなく否定しないでよ」
「ロクなもんじゃねぇだろ」
「愛は込めました」
「キモい」
「ほら。ヤスタカ。これ」
「……それは」
「君が好きなタマムシのデパ地下に入っている有名ブランドチョコレート会社のフォンダンショコラ。列に並ぶこと1時間。俺の今日の昼休み返して欲しいくらいよね」
「今日、妙にドタバタしてたの、そのせいか」
「ぴんぽーん。しかもバレンタインでしょ今日。だから予約してたんだけど、予約してた客の数自体が半端なくて。危なかった。休憩時間オーバーしたらリーダーに怒られるし」
「……」
「ほら。俺って存在かこの貴重なお菓子か。どっちか選ばせてあげるよ。ヤスタカくん。ちなみに君がコレ受け取らないなら、書類作業に追われて頭の糖分減退してるリーダーにお渡ししようと思ってる」
「ちなみに中身は」
「二つ」
「分かった。ありがたく受け取るよ」
「棒読みー」
「そう言ってもらえただけ嬉しく思え」
「全くもって素直じゃない」
「俺に素直さなんて求めるのか」
「いいや。ヤスタカはそのままで良いよ」
「じゃぁ文句言うな」
「へーへー」
「ホワイトデーは何もしないからな。俺は」
「期待してないから大丈夫」
「お前ってさ。基本的に見返り求めないよな」
「こうやってヤスタカくんと話せることが楽しいからねー」
「損な人生」
「そうでもないよ」
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この後。ヤスタカがグリーンへ差し入れがてら持って行くと、箱の中にあたかも女性からと思わせるメッセージカードで「ヤスタカに愛を込めて」とか書いてあるってオチです。
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