炎香たんへのバースデープレゼント!
 保健室の先生シンジ×中学生シゲル(お姉さんがいます。ナナミ姉さんではない)





 トイレで自分を慰めている現場を保健室の先生に見つけられてしまった。その時から僕はずっと先生に脅され、犯され続けている。中学生を脅す大人なんて最低にも程があるけれど、強請られるネタを掴まれてしまった僕も最低だ。


 小学校から中学校に上がる一歩手前のこと。ある朝、僕の体が精通した。
 パニックになりながら姉さんに相談しに行くと、おめでとうと言われた。これで大人への体へ一歩近づいたのだと説明されて、でもちっとも嬉しくなかった。下着の中が気持ち悪くなるだけじゃないか。射精という現象はその時の僕にとって、それだけの価値しかなかった。
 保健の授業で精子がなんだとか卵子がなんだとか聞いてはいたが、実際に自分の体にそれが訪れると違和感しかない。子供を作る為に必要なんだ、と知識として頭に入れることはいくらでも出来る。しかし、それを現実とリンクさせることはこの時の僕にとって難しかった。
 次に困ったのは性欲のコントロール。中学に上がれば友達も「そういうこと」に興味を示す奴が増えてくる。兄弟のいる奴だったら雑誌だとかビデオだとかを入手してくる始末。一緒に見ようと誘われる度に嫌な思いをしていた。しかし断ると一緒に遊んでくれないんじゃないかだとか、そういったことを考えてしまって結局いつも付き合うことになってしまう。いちいちそういうシーンを見て反応してしまう下半身。始めは処理の仕方すら分からなくて困ったが、知識が増えるとどうにか自分で対応することが出来るようになってきた。そうなるとさらなる問題が起こる。授業中だとか家にいる時だとか、疼く下半身を止められなくなってきたのだ。何とか我慢しようと思っても難しくて、つい学校ではトイレに逃げ込み、家では家族にバレないように処理するしかなかった。

 そうして学校のトイレである日、あの先生に見つかってしまったのだ。声だって出さないように頑張って耐えていたのに、どうしてバレてしまったのだろう。精子を吐きだして一息ついて、トイレットペーパーで手についた白濁を嫌々ながら拭いて扉を開けた瞬間、目の前に立っていたのが白衣姿のあの人だ。声も出なくなって、体に巡る血が全部足の裏から出て行ってしまうような感覚に見舞われて。死んでしまうかと、思った。しかし現実はそう都合よくはいかなくて、僕は死ななくて、ただ先生に腕を掴まれて保健室へ連行され、無理矢理ベッドに抑えつけられた。てっきり叱責を受けるかと覚悟していた僕の予想の軽々と上を行った彼。
 まさかそのまま犯されてしまうとは誰が考えつこう。

 保健室の先生といえば、優しい女の先生、という勝手なイメージがある。しかしこの先生は、無愛想で可愛らしさなんてカケラもない男の先生だ。友達の話を聞いていても良い噂は聞かない。怪我をして保健室を訪れてもロクな言葉を掛けてくれないだとか。挙句に文句や嫌みを叩きつけられて終わるだとか。関わりを持ちたくないと思われるような保健室の先生なんて居ていいのか。だなんて、常々疑問に思っていた僕がまさか彼と関係を持つとは。しかも体の、だ。

 女の子とすら関係を持ったことの無かった僕が先生と、しかも男の先生と体の関係を持ってしまうとどうなるか。まず男同士のやり方すら知らない状態だったのに、いきなり突き入れられてしまった一物の痛みに堪えきれず叫びかけた。しかし、学校のトイレで自分を慰めていた光景を誰にも知られたくないなら俺に従え、だなんて脅し文句で、それに逆らえない僕は泣きながら彼の要求をのむしかなかった。ただでさえ自分で行う射精行為すら受け入れられている状態ではないのに、さらに追加された拷問。あまりの激痛が走って口を開けたがその瞬間、無理矢理手で塞がれてしまった。溢れる涙だけ止まらない。そうやって何度か体を開拓されているが、いつまでたっても痛みが伴うだけだ。
 同姓で気持ち良くなることは不可能なんじゃないか、と思ってネットでこっそり検索してみたが、そうでもないらしい。良く分からない表現だとか言葉がいっぱいでてきたけれど、上手くやってる人はやってるらしくて。ようは僕とあの人では上手くやれていないということだ。
 そもそも、僕はしたくないことで、あの人だけがしたいこと。気持ちの折り合いなんてついていないのに、気持ち悪いも気持ち良いもあるわけがないんだ。本当は。痛いだけに決まっているじゃないか。しかしあの人はそんな僕の考えなんて理解する気なんてない。それならずっと、僕はこの苦痛に耐えるしかない。選択権なんて最初から無かった。

「考え事か」

 鼻で嗤われる。
 目先に散らばる薄紫が憎たらしい。
 いっそのこと引き千切ってしまえればどれだけ良いか。
 しかしそんな些細なこと、この人にとっては何の復讐にもならない。

「ふん、なんだ。いい加減に余裕でも出るようになってきたのか?」
「!?、が、ぁ、ひっぃ゛」

 口に咥えさせられた、丸められて横に長くなったタオル。これがなければ廊下へ届いてしまう程の声を上げてしまっていたに違いない。いきなり奥まで抉られてしまって、思わずのけぞった僕の視界はあまりの痛みでチカチカした。ビクッと太股が痙攣する。つま先を丸めるように力を入れた。両腕はこの人の胸倉を掴んでいる。ダメだ。痛い。胸が委縮する。心臓が潰れるかと思う。ぼたぼた落ちる涙。
 先生はそれでも態度を変えることはなく。彼のやりたいよう、欲望に忠実に、僕の体を荒らすだけだ。ならば、早く終われ、と願うしかない。唯一僕が出来ること。解放されたい一心だ。体の中に彼の精液が注がれる。それだけのこと。終われば、僕は家に帰れる。言い聞かせてどうにかこの最悪な状況から気を逸らそうとした。しかしそんな努力なんて虚しく、結局は激痛に引き摺られてしまうのは分かり切っていることなのに。
 中に出される感覚には慣れない。多分、慣れることなんてこの先、絶対に無い。







 ボロボロになって保健室のベッドに沈んだまま、明日の授業が何だったか考える。嘘。本当は頭を回すことだってままならない。足を動かせば体内に流し込まれた先生の欲が動く。おかげで体を動かす気になれなかった。自分の汗の臭いがシーツから鼻に飛び込んでくる。毎度毎度汚れるベッド。いちいち新しいシーツに換えなければならないのは面倒だろうに、その労力を無駄とは思わないようだ。

「おい、いつまで寝てる。とっとと帰れ」

 ピクッと指が勝手に反応した。
 本当に、本当に面倒臭いと言わんばかりの声色。こうさせたのは誰だ。口には出さないが睨みつける。そんな僕を軽くまた鼻で嗤い身支度を整える先生。ギリッと歯を噛みあわせたが、ほぼそれと同時に先生の携帯から着信音が鳴り響いた。誰からだろう、と僕が疑問を持つと同時に彼の眉間に皺が寄る。嫌な顔を浮かべ画面を見ると、そのまま机に置いて放置を決め込んだ。虚しく機械的な音楽だけが保健室に響く。そのまま相手が諦めて切ることを待つことにしたようだ。なぜだろう。それほど話したくない相手なのか。着信拒否にでもしておけばいいのに。
 そうやっていつまでも起き上がらない僕にも苛ついたのか。突然近付いてきて腕を掴まれた。ぐいっと強制的に置き上がせられる。急なことで体が追いつかず、挙句鋭い痛みが走ってうずくまった。

「い゛っ」
「ズボンを履け。早く」

 そうして放り投げられた僕の制服。誰が脱がしたんだ誰が。どろっとした液体が太股を伝う感覚にぞっとした。早く出さないと。何とか痛みを気にしながらズボンに足を突っ込みチャックを閉める。ベッド下に放り投げられていた鞄を握り、何も言わずに保健室を出る。お尻から違和感が足に伝わっていつものように歩けない。舌打ちを一つ。もうとっくに陽が暮れている時間。親には友達と遊ぶといつも嘘をついている。罪悪感なんてものとっくに捨てた。気にしていたらやってられない。
 今日の涙は枯れ果てた。だから、心で流すしかない。しかしその涙が落ちる場所は、結局の所、心だから。溜まる一方の負の感情に押し殺されてしまいそうになる。それでも、本当に殺されるなんてことは、ないから。

 グッと喉を詰めて、僕は下駄箱の靴に手を伸ばした。





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炎香さん本当に本当に遅れてすみません!
そしてハッピーバースディ!
初シンシゲでした。現代パロ。
保健の先生シンジと中学生シゲルとか美味しいです。
だがしかし、終わらなかった……orz
また、続き書いたら押しつけます、ひぃひぃ!
そしてシンシゲ吸血鬼とかも書きたいので、
それはそれで個人的に押しつけます(笑)

Cloe






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