#08 An angel's salvation




「いいのか?あんな言い方して、確実に悪者だぜ?」


そう女王に問うたのはエース、または初代と名を呼ばれた彼だった。


「いいんだ。アイツには、こういう役も必要だろう?」


自嘲気味に笑ったその顔はあまりにも見た目相応のものではなく、歳相応のものだった。


「知らないことがありすぎる・・・か・・・」


何か遠くを見て、初代はそっとつぶやく。


「ま、アイツが知らないように傷つかないようにその秘密を隠したのは”俺ら”なんだがな」


そういった2様はの目は、どこか遠くを見つめていた。




――――




「ここ、何処だ?」


牢獄と言っていたことを思い出し、とりあえずくまなく探す。
パラパラと砂埃が堕ちる薄暗い廊下、足元はほとんど見えない。


「おっさん!!!!、おいおっさん!!」


呼んでも返事はかえってこない。


「こんなことでへこたれるんじゃねーぞ」


まぁアイツがこんな事で死ぬようなタマじゃないってのは知ってる。
大丈夫だ、大丈夫。
そう思っていても、バージルに切られそうになった時ネロをかばった髭が脳内にフラッシュバックする。


「クソッ!!!!!」


ネロは行き場のないイラ立ちから悪態をついて右手を壁に叩きつけた。
その拍子に更に天井は崩れ、白い砂埃が辺りに立ち込めた。


「ゲホッ、最悪」


眉間の皺をさらに深くさせた時、ふと目の前に何か異質な白い物体が舞い降りた。
まるで天使の羽のような・・・


プラスチックの羽根というには柔らかく、鳥の羽というには余りにも神々しいそれに
ネロは確かに見覚えがあった。


フォルトゥナで起きた事件、今は既に崩れた城で義理兄と戦ったあの場所で。


「まさか・・・な」


義理兄がこんな所に居るわけがない、だってアイツはもうこの世には居ない。

そう頭の中で悲しみに浸りそうになる自分を振り切る。
普段じゃこんなことはないのに、なんて舌打ちが自然と出た。

手に取った羽根を手放そうとして、まるで誘うかのように同じ白い羽が、目の前の廊下を伝い薄暗い階段を登っていくのが見えた。

光の粉を纏い何枚もの羽根が床に落ちている。



「手助けしようって? クレド」



半信半疑笑いながら言ったが、返ってくる言葉などなく、ただ羽根が再び落ちてくる。

久々に口にした義理兄の名が異様に口に馴染んだ。



俺は、ダンテ探し先決と考えてその羽根をたどることにした。




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