#06 A dignified queen




「ずいぶんと歩くんだな」

城に入ってからもう数十分は経っているだろうと思う
それほどの間、ほとんど同じ風景の中を歩いている気がした。

窓からの光が高級そうな赤い絨毯を照らし、さらに壁には小細工として上品に飾り付けられたものや、不気味なものまでいろいろある。


「まぁそう焦るな、女王様がお前をまってる」

「え?」


俺から突然出向いたのにそれはないだろう、そう思ったが気にすることでもないとは
思ったから放っておいた。

きっとバージル辺りがなにか手配をしたのだろう・・・。


突然大きな両開きの扉の前で立ち止まったエースと名乗ったダンテは大きく息をすった



「此処だ」

「あぁ」

「俺はちょっと用事があるからここまでの付き添いになるが、
 あんまクイーンをおこらせんなよ、kid」


ヤバいやつとなると、後々めんどくさい。

そこまで言ってコイツは、一気にその両開きの扉を蹴り開けた。


「!?、おい!!」


今さきほど俺が注意を受けたばかりなのに、なんなんだ!

しかし、開けた瞬間の夥しい圧力に俺は固まった。

そして、その目線の先には確実に王座に座る男がいた。


「2様、連れてきたぜ」

「・・・。」


ふと閉じていたまぶたを上げて、彼は俺を見た。

またダンテそっくりで、違うような・・・そう、皆が皆、何かが違う。

目線が合う、なんともいえない、逆らえない、そんな雰囲気を持っている・・・。


「じゃ、そういうことで、頑張れネロ」

「はぁ!?」


そのまま去っていく彼の背を見つめながら、ふと振り返ると女王がこちらをまだ見ていた。

ってか、クイーンじゃなくてキングの間違いだろ?

なんて思ったが、そんなこといちいち訂正していても、めんどくさい。


「ネロ・・・といったか」


突然その低い声で名前を呼ばれこの俺がビクついた。
それだけ・・・威厳があるといったほうが正しいのだろうか。


「あぁ、2様・・・だっけ」

「そうだ、俺はこの国の主らしい」

「らしい?」

「いや、気にするな」


触れて欲しくない話題なのだろうか?


「安心しろ、別に禁句でもなんでもない」

「ッ!!」


心をみすかされたことに、少し恥ずかしくなって顔を下げる。


「説明するのがいろいろ複雑で面倒なだけだ」

「・・・そう。」


そこまで続いて、午後のティーを勧められた。

正直さきほどまで双子に勧められていたから喉も乾いていなかったが
断るのも癪なので、席についていっぱい貰うがてら頼み話をすることにした。


「・・・あの」

「砂糖」

「は?」

「角砂糖はいくつだ?」

「あ、2つ」


それを聞いて黙々と紅茶の中に角砂糖を入れる。
そう、ドバドバと、1、2、3、4

俺のには言ったとおり2つだが、2様のはあきらかに入れすぎ・・・。

そう思うと、今まで合った現実のダンテそっくりなヤツらは甘いものが同じく大好きなのだろう。

エースも・・・たぶん当てはまるかもしれない。


紅茶を一口含むとまた違ったバラの香りがした。



嫌いじゃない。




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