#05 High pride queen's watchdog



嗚咽が出るほど赤いバラの咲き乱れる道をひたすら城にむかって歩いて数十分。

俺は今までのこの世界と不釣り合いな城に、口を大きく開けていた。

「ヒュ〜、マレット塔のあの城とはなかなかの趣味だな」

どうやら髭にはこの城の形状に憶えがあるらしい。

「ってか、此処どうやって入るんだよ」

「正面から?」

「正面って・・・」

道を知っているのか、先をゆく髭について俺も一緒に入り口まで行く。
その瞬間、上の方から声が聞こえた。

「Jack pot! Ha-ha!!」

上を見上げると赤いコートに身を包み、胸には大きくハートとAの文字。
その男はまた、俺の知っている髭よりももっと若い見た目をしていた。

「大当たりだ、胸騒ぎがすると思って表に出たら、こんな時間にお客様とはめずらしいな」

そう言って髭に目をくれることなく俺を一瞥する。
その怪しい物を見るような目が凄く腹立たしいが、文句の言葉を飲み込んでポケットにしまってあった
バージルのカードを取り出す。

その男は一度大きく目を見開くと
「hum...バージルからのカードか・・・」
そう呟いた。

「バージルと三月兎の招待で此処にきた。女王にあわせて欲しい」

「いいぜ」

率直に言うと返答はいとも簡単にかえってきた。
もう少し悩むと思ったのに・・・。

「ただし」

「ただし?」

「そこの時計兎は置いていけ」

「はぁ!?」

その言葉に疑問しか持たなかった、何故髭をおいていかなければいけない。

「女王の前で何をしでかすかわからないからな」

その言葉に髭が反撃する。

「女王の番犬ともあろう奴が、そんなに女王を守ることができないと公言するのか?」

「いや、俺がいなくても女王は十分強い」

目の前の男は何のためらいもなく言い切った。

「じゃあ別に髭が一緒でも問題ないだろ」

「”獣臭い”と言われ冷徹な目で撃ち殺されていいのなら、かまわないぜ」

その言葉に一度言葉を失ったネロは、とりあえず目線を髭に移した。
髭がめんどくさそうにしながら肩をすくめる。

ぶっちゃけ、そこまで女王は常識のなってないやつなのか
と、いうか、今まで会ったすべてのやつが常識なんてもってなかったような気がしなくもない。

「わかった」

「お?」

「俺がひとりで行く。それで文句はないだろ?」

此処で迷ってても仕方ない、そう思ったネロは直ぐに決断を下した。

「OK、じゃ、ネロ改めて自己紹介しよう」

一度一息置いて目の前の騎士は言った。

「俺はハートのエースだ、この城で女王の騎士兼番犬をしている」

そう言った目の前のダンテそっくりなエースは、
少し日焼けした肌の手を俺にさしだした。



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