#03 Two of a kind.



まずはイカレ帽子屋のところへ連れていってやると目の前の髭に手を引っ張られ

ズカズカと森・・・というより草花の間を縫って歩く。

道中借金の取り立てをしつこくしてくるオッドアイのチャシャネコや無駄に色気のあるビリビリと雷扱うの芋むs、、蝶だの。

なんかおそろしい話を聞いたが・・・退屈しのぎにはなった。

というか現実にそんなやつが居た気がするのは・・・気のせいだろうか

ふと草木から視界が晴れたと思ったら少し遠くに長い長いテーブルがあった。

座っているのは2人。

中央に古びた大きな青い帽子を被る人

そしてその横には手入れをしてなさそうな髭とは違う、ウサ耳をピンッと立てて苺の乗ったケーキにガッつく青い帽子の青年とほぼ瓜二つの青年。


「よぉバージル、若」


声をかけた髭の後に続いて俺もついてゆく。

その声に気づいたのかケーキにガッツついていた兎が顔をこっちに向けた。


「ほへいふふぁひふぁねぇふぁ!」

「愚弟、喋るなら口の中の物を飲み込め」


青い帽子の青年に言われ苦しそうに喉につまらせながら紅茶の助けを借りて口の中のケーキを飲み込む。

口の周りについたクリームを溜息をつきながら帽子の青年がペーパーナプキンで拭う。

これだけ見れば仲良し兄弟だ。


「時計兎!」

「こんな所に何のようだ」

「いいだろ、お茶会くらい俺も参加したって、なぁ帽子屋さん?」


いつの間にか三ヶ月兎と反対側のバージルの隣に座り頬杖をつく髭。

帽子屋のこめかみに深いシワができ、おびただしい殺気が立ち込めた


「ダンテdie!」


ソレと同時にいくつもの幻影剣が宙を舞三ヶ月兎と時計兎を襲った。

いや、もうさっきの微笑ましさはどこいっただの言える、例えるならもう・・・殺人現場のようだ。

ある意味”イカレ帽子屋”なんて言葉が本当に合ってるんじゃないかと思えてくる

ふと空気になって立呆けていたネロは帽子屋と目が合った。

ヤバい、と背中に汗が伝った。ブゥンという音と共に無論俺に閻魔刀が向かってくる。

反射的に悪魔の右腕で目の前をガードした・・・がいつまでたっても衝撃が来ない。

おそるおそるネロは目を開けると、そこには血だらけながらも何処からともなく出したリベリオンでその帽子屋の刃を抑えている髭がいた。


「おっさん!!」


叫んだ。


これは夢だし、悪魔のあんたが怪我をして死ぬはずもない。

でも、庇われたことに少しの戸惑いと疑問と、好奇を抱いた。



「夢の中くらい甘やかさせてもらってもバチは当たんねぇよな、オニーチャン」



早口でよく聞き取れなかったが、ダンテはそう呟いた。

ムッとした帽子屋に

「な、お互い様だろう?」なんて言う。

こんな状態でもニヤニヤ笑う髭。

また話の意味が分からない。

ネロはこの世界にきてから困惑してばかりだと仲間はずれにされたような気分で自分に小さく舌打ちをする。


「バージル!」



「・・・好きにしろ」



いつの間にか復活した三ヶ月兎に制止されバージルは殺気を抑え、元の席に座った。

へいへいと言いながら髭は先ほどとは違い三ヶ月兎の横に座りテーブルの上にあったストサンと食べ始める。

その様子に今度は若が悲鳴のような大声を出した


「あぁ!それ俺のストサンじゃねぇか!」

「あぁ?いいだろ俺だって好きなんだ」

「返せこの髭ッ!!」

「これだから若い奴は食い意地貼ってやがる!」


ガミガミとストサンで今にも第二戦を始める勢いの2人にネロはため息を付いた。



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