#02 Welcome to...
今までうつぶせだったため、今見えなかったものが見えてしまった。
頭の上に2つあるソレが。
「あ、ぁ、あああ、あみ、みみ、み」
「?・・・どうした坊や」
「みみ!おっさん頭の触ってみろ!!兎の耳だ!!」
それはそれは赤いコートに映える白いフワフワフサフワの兎耳がダンテの銀髪からにょきっと生えていた。
「・・・それがどうした?」
当たり前だというようにネロに返してくるダンテ。
わけがわからない、
「おいおいスパーダの息子何様ダンテ様のくせにイカレちまったのか?!」
焦りを含みながら、しかし馬鹿馬鹿しいと笑い飛ばしながら聞いてみる。
「ダンテ・・・hum...?」
目の前の髭がダンテと言う言葉に疑問を持つ仕草をした。
極めつけにこの言葉。
「違うな、坊や。俺は時計兎だ」
さも当たり前のように自分を時計兎だと名乗ったおっさんはポッケから小さな見たことのないバイタルスターを取り出すと俺に渡す。
端についてるラベルには”eat me”の文字。
食え、と髭は目で促してくる。
恐る恐る一口噛むといつの間にか身体は小さくなり、髭はさっきまでの俺では通れないような穴から外に出ていた。
今は迷ってる暇はないもしかしたらこれは俺の夢の中なのかも知れない。
いまはこの夢が覚めることを願ってこいつについていくしかない。
とにかくこの夢からの脱出方法を探すために俺は髭のあとに続いた。
「は、はは、はははは」
外に出た瞬間俺らしくもなく乾いた笑いが漏れた。
目の前には自分の背丈よりでかい喋る草花、おかしな鳥、悪魔か?と思うようなものまで。
嘘だ、信じたくない、しかし今までの出来事で薄々感づいてはいたし、これには思い当たる節がある。
ずっと昔、まだ俺が孤児院に居た頃キリエと一緒に読んだことがある絵本の話にそっくりだ。
少し前を行く目の前の髭がネロの方に振り向いてニヤリと笑い、口を開いた。
「Welcome to Wonderland!...Nero」
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