#01 Where is here?



今日は結構大きな依頼があり、肉体的にも精神的にも程よい疲れに少なからず充実感を得ていた。

レディの取り立てが無い限り今回の報酬でDevilMayCryの懐も潤った。

家計を支えるおかんの位置に定着しつつあるネロはこの久々の余裕に舌鼓を打ちながら上機嫌で夜ゆったりとした眠りについたはずだった。

そう、ついたはずだったのだ。


「どこだ此処」


ボーッとする頭で周りを見る

上から下へ落ちる風遊感の気持ち悪さに眉をしかめながら当たりを見回すと家具やケーキ

メルヘンちっくなものが落る過程でいくつも浮かんでいる。

スパーダの血を受け継いでるらしいネロの身体はダンテと同じかそれより劣るだろう回復力があるので、床にたたきつけられて潰れようとも死なない。

でも痛いものは痛いのだ。

とにかく落ちた時の衝撃に身構えながらネロは床が見えるのを待った。

やっと床と思える場所が見えた頃、穴に落着加速は重力に反して低下し、ネロは壁をクッションにしてその地に着地した。

と思ったら再び落ちる感覚と共に逆さまになり本来の床であろう場所の、なにか柔らかいものの上に頭から落ちた。

穴なんてもうどこにもない。

地球の重力無視しすぎだろうとか、わけがわからないとか、何処だ此処とか、頭の中にいろいろ言いたいことがたくさんある、考えることもたくさんある。

悪魔の仕業か、と一瞬疑ったがそんな気配は微塵もない。

ネロは今までないほど困惑し、額に汗が滲んだ。


「おい坊や、男に上に乗られる趣味はないんだが」

「!!ッ」


いつも聞くしかし今はすごく懐かしく、救世主のような声。

ネロはその声に自分は何かの上に頭から落ちて、うつぶせのままだったことに気がついた。


「おっさん!!」


ダンテだ。

俺のよく知る髭面のアイツだ。

ニヤニヤと何を考えてるかわからないような笑みを浮かべてる。

いつもは憎たらしいその笑みを見て、安心からひどく脱力してしまったとか、いろいろ悔しい面もあるがそれはもういい。


「おっさん、これいったいどういうことだよ、どこだ此処!」

「おいおい、落ち着けネロ、とりあえず胸ぐら掴む前に俺の上からどけ」

「・・・ッ!」


客観的に見れば俺がダンテを押し倒してるように見えかねない、これは流石にやばい。

かといって此処には誰もいないから恥ずかしがるようなこともないのだが。

ニヤニヤとしている髭の上からそそくさと退散して横に立つ。

髭も塵を払いながら立ち上がった。

その際「よっこらせ」とかじじ臭い言葉が聞こえた気がするが、聞かなかったことにしておこう。

本題に入ろうと、ふとダンテの方を見てネロは固まった。



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