#09 Don't cut the limb you are standing on.





しばらく歩くと薄暗い檻の中に見覚えのある赤いコートが目に入った。


「ダンテ!!」


考えるより先に反射的に言葉が口をつく
その声に気づいたのか重たそうにしている首をこちらにむけた。


「坊やか・・・俺は今時計兎だって前に言っただろう?」

「そんなことどうでもいいんだよ!!大丈夫なのかよ、しくりやがって!!どれだけ・・・ッ」

心配させておいてと言いそうになって口を噤んだ。
そんなこと言うのは今更ながらプライドが許してくれない


「元はといえば坊やのせいなんだぜ?」

「はぁ?」

「一人で決断してさっさと行っちまうから」


そういえばそうだった。
めんどくさいし決断を急ぎたかったから俺が勝手に独りで城の中へと入っていったのだ。


「流石に人質アリで2様に挑むのは俺にも難があるしな」

「ッ!!」


後悔の念が押し寄せた。

俺のために、俺のせいで、俺が居たから
そうだ、あの時もそうだった。
キリエとクレドの両親が殺された時も、クレドが死んだ時も
俺が・・・ッ


「ネロ」

「・・・ッ?」

「抱え込むな、お前は兄貴とは違うんだから」

「何言って、、」


その時だった。

小さな揺れと天井から降る砂埃が更に強くなったのは。

地響きが遠くの方で聞こえる。
パラパラと音を立てる砂埃は異様に静寂する牢獄に響いた。

これはマズイかもしれない。


「おっさん、ここを出るぞ」

「はいはい」


牢を壊そうと右手を振り上げ、違和感を覚えた。
そうだ、今俺にはデビルブリンガーがないのだ。

こんなヤワなもの1つ壊せない自分が非常に哀れに感じ、ネロは檻に拳を叩きつけた。


「Shit!!」


無力だ、本当に自分は無力なのだ。


「諦めるのは早いぜ、坊や」


ガシャンッその音をたてて降りがぶっ倒された。
ネロは目を見開き、ダンテを見た。


「俺を誰だと思ってるんだ?」


砂埃の中檻の残骸を踏みつけ、自分の前に立つ男に翻弄された。


「ダンテ・・・?」


そういえば、そうだったのだ。
こいつは俺よりな十倍も強いに決まっている、自分は何を独りで抱え込んでいたのだろうか。
俺なんて、足元にも及ばない。


「誰がなんと言おうとネロはネロだろ?さ、帰ろうぜ」

「そうだ、俺は俺だ・・・あぁ」

「帽子屋への文句は俺がつけといてやるよ」

「ついでに三月兎もな」


どことなく、お互い笑た。

ウジウジしてるなんて、俺らしくもない。
カッコわりィ、さ早く帰ろう。


そして目が覚めたら、貰った温かいコーヒーを飲んで

それで、この眼の前のおっさんの顔を見て、皮肉られて皮肉返す。

そんな当たり前で、でもどこか温かい日常がまってるんだ。




[ 9/11 ]
[BACK] [NEXT]
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -