悪魔への牧歌詩 その1



目の前にはグラビア雑誌、胸の大きいお姉様方。
そして外は激しい雨。
数日前からの相当激しい豪雨である。

豪雨同様に数日前からこの事務所には双子が住み着いた。
未だに喧嘩腰であるが片方は宥一、自らの兄を追いかけて魔界に飛び込んだ若造だ。

なかなか、ガッツがある若造だと、俺は思う。
どうしても自分と比較すると、そういう結論に至るのだ。

今ちょうど奴らは片時も離れないというようにソファで座っている
・・・といっても一方的に若造が「もう離さない離れない」とひっついてるだけなのだが

兄バージルは家の本をあさり読み、その様子をみると半ば弟を引き剥がすのを諦めているようにも見える。
少し前までは力ずくでも離れろと言っていたのに、大きな進歩だろう。

昨日坊やは既に此処を発ち、一度フォルトゥナのキリエ嬢ちゃんのところに帰っちまった。

ぶっちゃけガキ2人のおもりを任せる奴を手放したのは惜しかったが
バージルがこの時代に居る限り右腕の制御が不安定であるのは変わりないので
荷物まとめて店にでも「休み」と貼り紙をしてからまた戻ってくるのだと言っていた。
遅くても一週間後にはまた訪れるだろうから、それまでだ。


「坊主、先にシャワー浴びてこい」


時計を見るともう夕方を過ぎた。


「!・・・後でいい」

「んじゃ、お先」


少しでも今は大人しい兄から離れたくないのか
あれじゃ、シャワーもトイレもついてくる勢いだろ、たぶん。
もしかすると俺もああなってたのだろうか、それもそれで御免被りたい。


「あ、ピザの注文しといてくれよ」

「おう」


ピクリ
バージルの眉が少し歪んだ


「貴様またピザか、いい加減まともなものを食べたらどうだ」

「えー、ピザ旨いじゃないか」

「おっさんに同意!」

「ありえん・・・」


ため息をつくと、再び本に目をおとした。

確かにここ数日ピザしか食ってない、というか俺にはほぼ毎日ピザだったんだが
ネロが来たときは小言を言いながらもネロがつくってくれたので、久々のマトモな食事だった。

ふと思ったんだが、あれはいい主夫になる。
男なのがもったいないね。

そんなことを考えながら、とりあえずシャワールームに向かう。
あの双子も、とにかくこの店を壊さないかぎり、大丈夫だろう。





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