Sings Devils




「Can't figure huhu〜…huhu〜… you are〜…

It's like I'm chasing huhu〜… stars〜…♪」


週休六日、今日も依頼のないDevil May Cryの昼下がり
悪魔なんて実はいないんじゃないかと錯覚を起こすようなそんな平和な日
きわめつけに事務所内には坊やの鼻歌混じりの歌がのんびりと響いていた。

無論、本人は鼻歌を気に留めることもなさそうだ。

というか聞かれていることに気づいてないのかもしれない。

幼馴染にあのフォルトゥナのお嬢ちゃんがいただけあって
やはり歌は坊やもそれなりに上手い。

耳に心地いいテノールの音が響く。

悪くはない。

無論俺以外の俺もそう思っているだろう
自分よりおしゃべりが嫌いなくせにおとなしくしているのだから。


「Please don't huhu〜… I guess
I'll see huhu〜… Sunday〜…♪」


歌が最後に差し掛かかる。

ふと、その時じっとしていた坊主が動いた。
奥の倉庫から取り出してきたのはネヴァン。

2様の横にいたバージルは少し怪訝そうな顔をしている。

坊やが歌い終わると、同時に今度はその場にネヴァンの音が響いた。


ジャジャーン


その弦をかくとピリッとした魔力と共に流れだした音。
なんだなんだと皆が坊主の方を向く。


「Hey!ネロもう一回歌ってくれよ」

「は?」

「だから、今度は俺が弾くっての」


坊やがみるみるうちに呆けた顔から赤くなっていく。
右腕を握りしめ、そのまま坊主に放たれると思った

思った、けれどそれを2様が阻止した。


「いいじゃないか……ネロは上手い」

「でもっ、」


坊やが文句を言おうと口を開くとそれを人差し指で止めた。

お前はホストか。

それに坊やも流石に我が家の魔王様には逆らえない。



歯をギリギリとさせているところ、恥ずかしさをごまかせないのが苦しいのだろう。


「そうだな、暇だし」


そこに初代が賛同し、バージルがため息をついた。

そして皆が今度は俺を見やる。
音を奏でるには必要な物がある


「――――はぁ、オーケイ、わかったよ」


俺は楽器を準備するため、定着席から重い腰を上げた。


ガタガタと準備をし倉庫から楽器を出していく。
今まで何度も楽器を齧っていたせいかそれなりに種類はある。
まさかこんな時に役立つとは思わなかったがな。


ネヴァンを若が
ピアノを初代が
サックスを2様が
ドラムを俺が。


そして


「Hey、オニーチャン」

「・・・なんだ」

「ベース」

「ふざけているのか」


今にも閻魔刀を出しそうなバージルからは不機嫌オーラがすごいが、気にしない。


「自信がないのか?」

「ハッ・・・その手には乗らん」

「ネロの抹茶ケーキ」

「俺かよ」

「・・・たまにはお前の遊びにもつきあってやろう」


そしてバージルがベース。
ボーカルがネロだ。

それぞれ楽器を調節して、そして目配せをする




坊主がニヤリと笑った


「Let's Rock!」


バージルのベースから始まり、俺のドラムがリズムを刻む
坊主のギターが音に乗って、2様と初代のピアノとサックスが入る

何かもう諦めたように皆を見てから
息を吸って坊やが歌い始めた


「Can't figure out the way you are」


ここまで弾けるのは坊やから同じ音を何度も聞いてたためだ。
それぞれが感覚でリズムを刻む。

想像以上に空気を震わせ、そして妙に耳になじむその柔らかい声は
魔力を持ったように皆を聞き入らせる。


「don't get caught in the down slide Ah...」


最後のフレーズが歌われ、拍手の音の代わりに


ターン


俺らの愛銃が火を吹いた。


「観客はお決まりってワケか」

「…だな」


事務所の外には数十の悪魔の気配。

坊やの歌がマジで魔力を持っていたのか、それとも偶然か


「俺は手伝わんぞ」

「仕方ねぇ」

「今度はこっちのショーといくか」



「Let's Lock baby?」







※曲の歌詞はネロの中の人のバンドが歌っている
「SundayFlower」をお借りしました。


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