危険なヤツラと共同生活
※現代にトリップしてきた擬人化モンスターが四苦八苦しながら暮らしていく様を書いたモンスターライフノベルです。
「誰だ貴様」
「お前こそ誰だよ」
「ごちゃごちゃるせぇ、とりあえず全部全部喰っちまうだけだ!!」
何も無い広い部屋、現代でいわゆる3LDKのマンションの一室でソファの前で3人のガタイのいい男どもがテーブルを囲みながら、火花を散らしていた。
「まぁ、一度落ち着こうではないか、まずは自己紹介からといこう」
「ガルルル・・・」
「チッ・・・」
上の物腰の柔らかそうな青い長髪に前髪が黄色い2本のメッシュの入った着物の男性は手を組んでその場に正座した。
俺は抵抗しない、の意だ。
それを見た前進が漆黒でまとわれ、スタイリッシュな眼鏡に身軽そうな青年がため息を付いて手を上げ降参の意を表して前者の横に座る。
「俺はやらねぇぞ」
「ここは戦いより話し合いをするべきだ」
「うるせぇ、俺が王者だ、俺の言うことは絶対だ」
「・・・いい加減にしたら?」
シュバッッ
瞬間オレンジ色であおみどりのメッシュの入った短髪のお兄さんの目の前に黒い風が通る
ふと長髪の青年が横を見ると毛を逆立て、目を赤く光らせる漆黒の青年が目に入った。
このままだと自分も巻き込まれてしまいそうだ。
「お、やるか、陰険者」
「自分が王者?笑わせるな。今は夜。漆黒の闇、月の下で動く僕が今は王者よりも強い暗殺者だ」
「グギャァァアアア!!!」
地と天を震わせる咆哮。
青年は瞬間黒い青年に素早く飛び蹴りを食らわせた。
まだ獣の形を少し残しているその足が強く音を立てる。
しかし漆黒の青年は赤い光の線を引きそれよりも早く回避する。
彼はしっぽのなぎ払いの威力のまま壁に激突し、大きな穴を作った。
もれなく隣の寝室とのあいだにもう一つ通り道が開通する。
「ガルルルルルッ!!」
隙をついて漆黒の青年はオレンジの青年に向かいクナイのような武器を投げつけた。
それをまだ獣の残る腕でなぎ払う。
「「グギャウッ!!」」
お互いがにらみ合い、瞬間同時に飛びかかかった。
バチバチィイイ
瞬間目の前に青白い稲妻が走った。
「い い 加 減 に し ろ と 言 っ て い る 」
ガッ
「グハッッ!!」
「ッ!!いってぇぇ!!!」
気がゆるみ額をお互いに強く打ち付しゃがんでもがく。
その場の空気が一度にして断ち切られた。
まだ見たことのない雷という特殊能力の戦闘法に好奇心と血が騒ぐと同時にほんの少しだけの恐怖が支配する。
「この家が壊れるだろうが!!」
まだ毛を逆立て空気中から電気を集め身体から放出している。
手には電撃砲の塊。
その姿はまるで狼のように気高く、同時に鬼のようだ。
「っ、悪かったよ・・・」
「・・・チッ」
最初よりも壁や床に焦げた後や傷や穴が目立つがそれをお構いなしに3人は最初と同じようにソファの前に三匹、否三人で座った。
「私の名前はジンオウガ、霊峰に住んでいた。最近はユクモ村周辺の森にも出向く」
最初に口を開いたのは長髪の青年。
「・・・俺はナルガクルガ、ポッケ村の、えっと・・・その辺出身、夜行性だよ」
次に黒髪の青年が口を開いた。
眼鏡が少し割れている。
「ディガレックス、それだけだ」
オレンジの青年もしぶしぶ口を開く。
「皆もそうだが、そしてこの外見は・・・ココでいきなり目が覚めた時にはもうこうなっていた、そで合っているか?」
皆が一度に頷く。
「まるであの忌々しいハンターみたいで、気に食わないなぁ」
「あぁ、私も同意だ」
「ね、ティガ兄さん」
「兄さん!?」
「だって、俺より年上そうだし、いいじゃん」
「・・・・好きにしろ」
こうして、騒がしい2人・・・いや、3匹の暮らしははじまったとさ。
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