Hello daddy
『до свидания бабушка!! 』
(バイバイ おばあちゃん!)
13年と3ヶ月。
それは私が親元を離れて母方のおばあちゃんのロシアの家に居候していた期間だ。
ロシア人のママと日本人のパパを持つ私は
まだ3歳という幼い頃、私の【個性】目的の敵に母親を殺され、父親と2人になってしまった。
その父とも
私を守るために私が3歳で父の元を離れて祖母の居るロシアに亡命のとき以来会っていない。
そんなパパと交わした約束は
「高校生になったら雄英高校のヒーロー科に入ってきてパパ見たいなヒーローになる」と言うもの。
幼い頃にママと一緒に見た雄英高校の体育祭が忘れられないから多分そう言ったのだろう。
それほどまで憧れていた雄英高校
その高校に私は今年から通うことになった。
勿論、そこまでの道のりは簡単とは程遠くて
約束を実現するために小・中学校とロシア国内トップのヒーロー育成学校でトップに立ち続けたり、
癖の強い私の【個性】と向き合い使えこなせるようにして、コントロールもだいぶ出来るようになった。
そして私は【雄英高校ヒーロー科 帰国生徒入試】で1位の成績を収めて入学する事が出来た。
【雄英高校ヒーロー科 帰国生徒入試】
別名《桜の咲かない扉》
定員は“一応”2名
しかし、必ずしも2名合格するとは限らない。
2名とも合格の時もあれば、1人しか合格者が出ない時もある。
でもほとんどの場合が1人どころか《合格者が出ない》
ここ数年では帰国生徒入試枠での
合格者が出てない=「桜が咲かない 」
ことからそう呼ばれるようになったのだとか。
今年も私以外は居ないらしい。
合格したときはお ばあちゃんや学校の友達などが喜んでくれて パーティーも開いてくれた。
「倫音ならきっと素敵なヒーローになれるわ!」
「応援してるわよ!」
そう村の人達から応援の言葉をもらい見送られて
私は今、日本に降り立った。
キョロキョロと辺りを見渡し
ゲートを出て待ってくれているはずのパパを探す
「倫音」
後ろから13年ぶりに聞いた声で呼ばれた名前は
記憶の中での声と変わらなかった。
スラッと長い体
キリッとした目
黄色のメガネ
そして、
自分と同じ、深緑色の髪色に所々にある黄色のメッシュ。
記憶の中での父と今目の前にいる父は、
少し老けたところ以外、全く変わっていなかった。
『ただいまっ!パパ!!』
あ、そうそう。言い忘れていたね、
これは私、夜目倫音が
素敵な仲間と共に様々な試練や苦難を超えて
最高のヒーローになるまでの物語だ。