『聞いてよ勘ちゃん!鉢屋ったら酷いのよ!』



俺の部屋の襖をバンッと開き、物凄く怒った様子の名前がこちらに歩いてきた。


「何?また意地悪でもされちゃったの?」

『そうなの!反応が面白いとか言って…酷いと思わない!?』


俺の前に座ってぷんすかと鉢屋に対する愚痴を言い始める。


『今日はね、楽しみにしてた団子を食べようとしてたの。そしたら急に鉢屋が来て…』

「うんうん」

『あっという間に団子全部食べちゃってさ!挙げ句それに怒ったら「じゃあ今食べてるの返そうか?口移しで」とか言い出すのよ!何なのあいつ!』

「あー…」


名前は気が付いてないみたいだけど、実のところ鉢屋は名前の事が好きだ。
でもあいつは不器用だからか、いつも名前に対して意地悪な態度とるんだよね〜。

まぁ、それは俺にとっちゃ好都合なんだけどさ!


「あいつまだ子供なんだって!イタズラ好きだし気まぐれだし」

『でも…団子楽しみにしてたのに…』

「じゃあ今度俺と一緒に町の団子屋行こうか!美味しいとこ知ってるよ?」

『ホント!?行く行―「ちょっと待ったあああ!!」…げ、鉢屋!』


…うわぁ、流石鉢屋嗅ぎ付けてきたよ。
せっかくいいとこだったのになぁ、全く…。


「何だよ鉢屋、何か用?」

「何か用?じゃねえよ。俺も行く」

『え、何でよ!?』

「俺も一緒に行くの嫌なわけ?」


明らかにこっちを睨みながら、名前にはあまり刺がない言葉でそう言う鉢屋。
…取られまいと必死なとこ悪いけど、俺も譲らないよ?


「俺は名前がお前に団子食べられたって言うから連れてくんだよ?」

「だから?」

「原因のお前が来てどうすんの」

「いいだろ別に、俺も団子が食べたいんだ」

「名前の食べといて何言ってんの」


バチバチバチ…
俺と鉢屋の間で火花が散る。
間に挟まれた名前がおろおろと顔を見てるのが可愛いなぁ…って思ったけど、今はそれより鉢屋を何とかしたい。
付いて来られたらせっかく名前とデートしてる気分になれるものも水の泡だ。


お互い譲らず睨みあっていると、重い空気に耐えられなくなった名前が叫んだ。


『もう!人を挟んで睨みあわないでよ!』

「あ、ごめん名前…」

「何お前間にいたの、小さくて見えなかった」

『何よそれぇえええ!!』


相変わらず名前に対して意地悪を言う鉢屋。
そんなだから名前にどんどん敵意植え付けるのにね。

そんな事を思っていたら、名前が口を開いた。


『…仕方ない、鉢屋も一緒に行こうか』

「「…え?」」

『その代わり勘ちゃんとあたしの分奢ってよ!』


え、え?何で?何でそうなった?

呆然として名前を見る俺と、してやったりという顔で俺を見る鉢屋。
ムカついた俺は鉢屋を睨み付け、そして俺達の気持ちを知る由もない名前に目をやりため息を吐いた。



水面下の冷戦!



町に行く当日。
名前を間に挟んで歩きながら、後ろ手で鉢屋と争っていたなんて。
そんな事言えないよねー…。


((俺の方に振り向いて!))





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学級コンビでVSネタ
完全に俺特ですね分かりますw

何気に勘ちゃん黒いよアチャー(^p^)←



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