『…あいたっ』

「名前?どしたの?」


いきなり痛いって言った私に少しびっくりしながら、ひょっこり勘ちゃんが顔を覗かせてくる。

くりっとした丸い目が心配そうに私を映す。
ああもう、可愛いな!


『んや、ちょっと唇の端っこが切れただけだよ』

「ホントだ…痛そう」


この冬の乾燥する時に思いっきり欠伸をしたからなんだろう、思いの外傷はぱっくりと深めに割れていた。
舐める度にチリチリと痛みが走り、舌の上に血の味が広がる。


『ん〜…こんなとこ切れたらご飯食べる時に痛いよね…』

「そうだね…。あ、俺医務室に薬貰いに行こうか?」

『いや、いいよ。そんな医務室行くほどでもないでしょ』

「そうかなぁ〜」


もの凄く心配してくれる勘ちゃんの眉がハの字に垂れてる。

確かにちょっと痛いけど…、今逆に医務室に言って伊作先輩に捕まりたくないっていうのがある訳で。
あの人怪我の事で語りだしたらホント長いからね。めんどくさい!

「ホントに大丈夫?」

『大丈夫だって!舐めてればいつか治るよ!』

「いつも名前はそうやって終わらすなぁ」

『ふふ〜、ごめんね勘ちゃん!』

「もう……あ、そうだ」


納得してない表情だった勘ちゃんが、急に何か思い付いたようにふっと顔を上げた。


『…?どうしたの勘ちゃ…』




ちゅっ




急に勘ちゃんの顔が近付いてきたかと思った瞬間、唇の切れた所に柔らかい感触を感じた。
え、何が起こった?勘ちゃんがドアップだった気がするけど何があった!?


『………!!?』

「えへへ、早く治るおまじない、みたいなね!」


少し赤い顔でケロリとそう言い放った勘ちゃん。
コイツ恥ずかしくないのか…!いやむしろ私が恥ずかしい!
今なら何処かに隠れても見つからない自信があるよ!


『ばっ、勘ちゃんのばかっ!!』

「えーっ!酷いよ名前!」

『知らない知らない!勘ちゃん爆発しろ!』

「ええぇ!?」


不意討ちですか



(でもほら、血止まったよ?)

(え…嘘だぁ…)

(ホントだって!何ならもっかいおまじないする?)

(…!?いいです!!)




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イマイチ勘ちゃんのキャラが掴みきれませんw
何これ甘いの?ほのぼのなの?(^p^)←



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