伊賀流戦隊シノブンジャー
「しのぴーち?」
「しのれっど?」
椿と幸村が同じ顔をして聞き返すと、5歳児二人は目を皿にした。
「ええ!知らないの!?伊賀流戦隊シノブンジャーだよ!」
「忍ぶんじゃーってまたシュールな」
「お、それはもしや今朝7時半からやっておった…!」
「何で知ってんの幸村!」
「そうそれ!兄ちゃんさすが!」
「で、何でそれが私たち?」
だって、と二人が顔を見合わせ笑う。
「傷付いたレッドに、恋人のピーチが手当てしてたんだもん!」
『また傷ついて帰ってきて!もう何回私の寿命縮めれば気がすむの!』
『悪い、ピーチ。でも人びとが俺を求める限り、どれだけ傷付いてたって出て行くよ。…それが、俺の使命だからさ』
『レッ…レッドーッ!』
『ピーチィィイ!』
「どんな戦隊もの!?」
「いやはやあれは感動でござったな!」
「幸村もそのシーン見てたの!?」
すかさずツッコミを入れる椿に、また二人のキラキラ視線が突き刺さる。
「「やっぱりシノピーチだあ!」」
「確かにぴーちと椿殿はどこか面影が…」
うむうむ、と頷いた幸村に同意する幼稚園児たち。
「しかし某はレッドに似ておるか?」
「その話し方に、かっこいい顔!まさにレッドだよ!」
「おっちょこちょいなとことかも!」
「赤い服着てるし!」
「それは誉め言葉なのだろうか」
頬を掻き苦笑した幸村に、それを小突く椿。
「そうなんじゃない?シノレッド」
「レッドー!」
「レッドー!」
からかうようにして言えば、目を輝かせ、続いて言う5歳児たち。
「ならば椿殿もしのぴーちでござる!」
「ピーチ!」
「ピーチ!」
ぴょんぴょん飛び跳ね、ピーチとレッドを繰り返すみくちゃんとけんたろうくん。
それがあまりに楽しそうなものだから、二人は顔を見合わせて笑い合った。そして、膝を付いて子どもたちと目線を合わせる。
「今からレッドが自転車の練習するけど、私と一緒に手伝ってくれないかな?」
「「手伝う!」」
伊賀流戦隊シノブンジャー意外と面倒見の良い
ふたりなのであった。