「うぉっしゃあ!出陣だ師匠ぉお!」
「行きましょうぞ類殿うぉお!」
類は自転車に跨ると、荷台に乗るよう幸村に指示をした。
「これでよいか類殿ぉお!」
「師匠ぉお!荷台の上に立つのはないっす!座ってくだせぇええ!」
「おぉ!そうかすまぬ!」
装備完了で、ペダルに足を置いた類は振り返る。そして手をぶんぶんと振った。
「行ってきまーす!ほら、幸村も!」
「う、うむ!行ってきまする!」
つられて、遠慮がちに手を振る幸村。
「安全運転よ類!幸村自転車初めてなんだから!幸村もちゃんと類の背中もってなきゃだめだよ!赤信号はちゃんと止まって、黄色も渡っちゃだめだからね!」
「わーってるって!心配性か!」
「承知した!」
「じゃ、姉貴!俺の数学の宿題頼んだぜー!」
そう言い残した類は返事も聞かず、ペダルを漕ぎ出した。二人とも相当はしゃいでいるらしく、端から見れば兄弟のようだ。
「あのばっか!何宿題って!…はあ。仕方ないなあ、もう」
なんて悪態をつきながらも、椿の表情は明るい。
疑似兄弟
「うおぉお!じてんしゃというのは速いのでござるなあ!」
「だろぉお!90パー以上俺様の筋力のお陰だけどなぁああ!ふははははぁあ!お!今から坂道だぜー!捕まっとけよぉおおー!」
「御意ー!うぉおお!」