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穏やかなスクールライフ
「で、姉ちゃんどうだったの初夜!朝っぱらから破廉恥ーって聞こえてきたけど」
ニヤニヤと笑う弟類を一瞥して少女は歩くスピードを速めた。
「世界に一人の姉が男と一緒に寝てるって状況なんだから、怒るか悲しんでよ」
「仕方ないっしょ、俺の部屋足の踏み場ないし」
何がおかしいのか、けらけらと類は笑う。
「ってかあの叫び声聞いたら助けにくるでしょ普通!」
「いやあ姉ちゃんが襲ってるのかなあって」
はぁ!?と眉を釣り上げる姉を、弟は楽しそうに見つめた。
「あんな男前だし早いとこツバつけとこうって魂胆かなあって気効かせたのに」
「ばっかじゃないの!」
「あーあ顔真っ赤!初だねえ、姉ちゃん。んなんだから彼氏できないんだよ」
「うーるーさーいー!もうほっといてよ」
「いやでも俺は賛成だよー。男前だし、武将だし、面白いし…って置いてくなよー!」
「あんたなんか学校遅刻したらいいのよ!」
類は一人でほくそ笑んだ。この姉が恋に落ちたらきっと面白い。それも相手が幸村ならもっと面白いに違いないと。
穏やかなスクールライフ「椿おはよー」
「んーおはよう」
「どしたのー?疲れた顔して」
「朝っぱらから戦国武将に耳元で悲鳴上げられた」
「…はあ!?」
目を見開いた、親友。
「…ってことなんです」
「あんたんちって馬鹿!?そうよねそうに違いないわ!」
言った後で後悔した。親友は超現実主義者だったことを忘れていた。
「だって普通信じる!?はい僕戦国武将ですーってそんなの新手の詐欺に決まってんでしょ!」
「だって本当に完全密室だったし」
「そんなのピッキングでどうにでもなんのよ!」
「喋り方とか服装とか、まんま昔の人だったし」
「着物なんて日本全国どこでも売ってるでしょうが」
「それに、」
それに?と親友美穂は首を傾けた。
「あの人、嘘つけないタイプだと思う」
本日二度目の雷が落ちた。
「あんた本当ばっかじゃないの!」