ばしゃん、と大きな水音が響く。目を開いたときには、彼は水の中にいた。あなたの心音を探ってみせよう水中は恐ろしく透き通っている。しかし、どうやら奥は深いらしく、下側にいくほど真っ暗闇が広がっていた。水中であるはずなのに、なぜか呼吸は辛くない。これが人の心か。息を吸って吐いてを繰り返したが、水が口中に入ってくることはなかった。ごぽり、と吐いた息があぶくとなって上へと消えていく。その反対に、下に向かって彼は泳ぎ始めた。この奥底に「彼女」がいるはずだと。制限時間は小半刻。