首狩りの鎌を持つ死神

※残酷発言あり





それから男が彼女のいる部屋に帰ってきたのは、すべての部屋から破壊音をさせてからだった。
そして、涙でぐちゃぐちゃになった彼女を見て、満足そうに口元を歪める。
美桜は燃え上がるような怒りと憎しみで顔を歪めた。


「大事な家を壊されて悲しい?うわぁ良いよ良いすごく良いその顔」


鼻息を荒くして、喜ぶ男。

「おとうさんとおかあさんからの最後の形見だったのにね。見るも無残にぼっろぼろ。助けてくれる人も誰もいなぁい。可哀想な美桜ちゃん」

男はぐふぐふふふと笑う。
美桜は後ろに回った拳をきつく握りしめた。
しかし、堪えられずに憎悪の念が爆発する。


「こんなことしてっ、何で、何で笑えるのっ!?最て…うぐぁっ…」


言葉が最後まで紡ぎだされることはなかった。
男に思い切り蹴り飛ばされていたからだ。


「っぁ…!!」

美桜は壁に突撃し、焼けるような痛みに目をカッと見開く。
体の下敷きとなった手や太ももに、深々とガラスの破片が突き刺さっていた。


「あーあ、血が出てきちゃった」


まぁいっかと特に気にする様もなく男は倒れ込んだ美桜のもとに寄ると、彼女の髪を掴みあげる。
そして引きずっていき、部屋の真ん中に転がした。


「美桜ちゃん、面白くないからペットにすんのやーめた」



その言葉に、痛みと酸素不十分で朦朧とする意識の中で希望という二文字が駆け抜けた。
しかし、次の瞬間、絶望に蹴落とされることになる。


「ここで犯して殺してあげる」


一段と低いその声音には嘘偽りは一切含まれておらず、その発言が本気だということを示していた。




首狩りの鎌を持つ死神


がたがたがたと大きく震える彼女の腕を、男は頭の上で縛り直す。
馬乗りになって美桜の顔を見つめた男は、彼女の目が黒く淀んでいることに気が付いた。


「ダイジョウブだよ、この世で最後だからじーっくり犯してあげる」

涙の跡のついた頬を、べろりと舐めた。それから首から鎖骨までを丹念に舌を使って舐め上げていく。
そして起き上ると、彼女の服を力づくで破いた。


「おっぱい開帳ぉ〜」


中から覗く桃色の可愛らしいブラジャーに男は息を荒げ、二つの膨らみに手を伸ばした。

ぐにゅり。

男に乳房を鷲掴みにされ、美桜は不快感と痛みに眉根を寄せた。
それを男は快楽を感じていると勘違いしたのか、もっと強く握ってみせた。
気持ちよさなんてあるはずもなく、ただ痛みだけがかすれた意識を支配する。
太ももや腕から溢れ出した血はゆっくりと畳を広がっていき、呼吸も浅く、途切れ途切れになっていく。


それでも男はそんな彼女の様子に気付くことなく、美桜の半裸に興奮しては胸を掴み体を舐め回し、獣のように息を荒げていった。
そしてついにその手が回り、彼女のスカートを脱がせる。

「今日のパンツは…ブラと同じピンク色かァ」


男が彼女の足首を舐め上げた。そして、その舌が上へ上へと上がっていく。
そして舌が太ももまで到達したとき、男がふいに顔を上げた。


ハァハァとまるで犬のように荒い息をすると、その手が自身のベルトにかかる。
カチャカチャと金具を外す音がその場に響いた。



意識が朦朧とする中で、美桜は「初めての相手は大好きな人って決めてたのになぁ」とぼんやり思った。


その時ふと小太郎の顔が思い浮かんで、妙に、切なくなった。


あの人はどこに行ったのだろう。

最後に一目でも、


会いたかったなあ。







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bkm