「…お前は話を聞く能力もないのか?」
はぁ、と大袈裟に溜息を吐きながら、バードウェイは首を振る。
折角情報を与えているのにそれを無碍にするのは、確かに愚か者のすることだ。
一緒に話を聞いていた他のメンバーも口には出さないが、態度で現していた。
「い、いや!顔洗ってきたから!!今度は大丈夫、な、はず!」
「信用ならんな。おい、マーク」
さらりとした金髪を揺らしながら、彼女は控えていた部下に目配せをする。当の部下はと言えば、これまた呆れ顔で頷いた。
「お前のようなアホにはとびっきり目が覚めるような仕置きが必要だ。…上条、あ、あとそこのお前、手伝え」
「ァ?」
「お、俺まで…?」
バードウェイはもそもそと何やらテーブルの上に小物を置いていく。
それは、この場にいる銀髪の少女を死の淵からすくい上げた際に構築されたモノに良く似ていたが、当人達には知る由もない。
「お二人と…一匹?はこちらへ」
理不尽な上司に指示を受けたマークは、銀髪の少女、インデックスと、金髪の少女、フレメア。ついでに謎の獣系女子をキッチンの方へと招き寄せた。
「…あの人はこれから何をするのかな?」
「……知らない方が身の為です。特に、貴女のような方は」


「よーし、発動」
気の抜けた声で、上条の部屋の一角の様相ががらりと変わる。
何というか。
皮膚の周りに酷く甘ったるい空気が絡みつくような感覚。
それから直ぐに、バードウェイがぱちんと指を鳴らす。
と。
「「「?!!!!」」」
一方通行の華奢な身体を包んでいた衣服が、一瞬で消えて無くなった。
座標移動のようにどこかに行ってしまったのではなく、文字通り消えたのだ。
炬燵に入っていた為に局部は見えなかったが、その細すぎる身体のラインや白い肌は、同席している少年達の視界にがっつりと収まってしまう。
「…な、」
一方通行が言葉を紡ぎ始める前に、バードウェイがすっくと立ち上がり上条へも指示を出した。
「その白いの、ちゃんと抑えておけよ?暴れられてはかなわないからな」
「え?ぁ、おう」
「…っ、三下ァ!!」
炬燵から出た上条は、一方通行の後ろに回る。それから脇の下へと手を差し込んで、がっしりと両腕を拘束した。
「よし、そのまま引きずり出せ。そこのアホ、魔術がどんなモノか教えてやる」
バードウェイは浜面にそう高々と宣言すると、その、品の良いブラウスを肘の辺りまで袖をめくり上げ、袖が戻らないように丁寧に畳む。
華奢な白い腕は微かな柔らかみを帯びていて、人形のように疵一つ見られない。そしてその腕に、どこからともなく水気が纏わりつく。
水気というよりは、粘液という方が正しいかもしれない。
彼女の腕にまとわりついたそれは、にちゃりと微かな音を立ててカーペットに染みを作った。
「さて、さっきも言ったが。魔術というものに科学の物理法則は通用しない。つまり」
バードウェイは静かに膝を床に付けると、そのぬるついた右手で一方通行の太股を撫でる。
理解が出来ない現象と、突然の展開に脳が追い付かないせいで身体はろくに反応しない。
ただ、その右手が足の間に潜り込んできた瞬間に、一方通行の脳から血の気が引いた。
「ゃ、…め…!」
「…いやぁ。恨むなら、そこのアホを恨むんだな」
その端整な顔立ちが嗜虐的な色に染まる。
彼女は影絵遊びでもするかのように指先を一つに纏めると、ぐ、と割れ目の奥にある蕾に押し当てた。
それから、まるで当たり前のように。
「…ひ、ィ…っ!!」
蕾がぐにぐにと押し広げられ。
バードウェイの手首から先が一方通行の体内に収まった。
「こんな風に、いきなりぶち込んでもセックスが成り立つ」
「…、な…ン…っ!?」
「嘘だろ…」
浜面の口からも、思わず声が漏れた。
通常、その部分に受け入れる機能など存在しない。仮にそう言うプレイを行うとしてもそれ相応の準備が必要だというのに。
「どうだ、気持ちいいだろう?」
「…誰が、ン、ひィ!!」
ぐぼ、と華奢な腕が一方通行の中と外を出入りする度に、彼の細い身体が跳ねる。
白かった肌はあっという間に薄く色づいて、赤い眼には涙が溜まる。
「こんなに此処を悦ばせておきながら嘘を吐くとは。お前にも躾が必要か?」
バードウェイは開いた左手で一方通行の胸の飾りをつまみ上げる。
「ぎっ!?」
「良く締まる穴だ」
彼女の長い爪が何の遠慮もなしにギチギチと肌に食い込んで行くというのに、一方通行の身体は全く痛みを感じない。
下半身からの鈍く熱い刺激も、胸から与えられる鋭い刺激も、全てが快感になって彼の脳を犯していく。
「ァ、は、…ひっ、ぐ、」
「ほら、そこのお前。試しに触ってみればいいさ」
「…お、おぅ」
「さ、…わ、ン…いィっ!?」
バードウェイに唆された浜面は、その太く節くれだった手で一方通行の胸を触る。
彼女とは違うその触れ方が、また別の快楽として一方通行の脳を刺激した。
生理的な涙も瞼の中に収まる量を超えて、彼の頬に幾つもの筋を作って流れていく。
そのようなとろけきった表情を間近で眺めているからだろう。
上条の理性の壁も、少しずつ崩壊していった。
「…エロい顔してるなー。…なぁバードウェイ、俺も…」
「お前はダメだ。その右手があるからな」
「なら、左手なら良いよな?」
今まで一方通行を拘束する任務を果たしていた上条が、左手で腕の中にいる白い少年の股間に触れる。
既に先走りを垂らしていたその器官の先端を上条が指の腹で撫でた瞬間。
「…ァ、ああァァァっ!!」
卑猥な喘ぎ声を上げて、一方通行は絶頂した。
白く濁った液体が上条の手の中に放たれ、今までにないほど後孔がバードウェイの腕を締め上げる。
「…っ!…私の腕を食いちぎる気か?お前の穴は」
少し腹を立てた様子の彼女は、これまで以上に腕の動きを激しくした。
肘までは流石に飲み込めないようだったが、それでも彼女の腕の三分の一程度は一方通行の腸内に収まっている。
そしてその質量は確かに彼の下腹部を圧迫していて。
「ィっ、ひっ、もォ、っ、…!」
「…すっげ、これ、あんたの腕?」
胸を愛撫していた浜面が、空いた手で一方通行の下腹部を撫でる。
まるで別の生き物が蠢いているような動きが、薄い肉と皮膚の下から伝わってきた。
「そうだ。ほれ、抜いて見せようか」
「ァああああァァァあっ!!!」
体の表面は浜面に押さえつけられ、内面はバードウェイが無遠慮に擦り上げる。
二度目の射精を迎え、限界を超えた快楽はとうとう、一方通行の意識を闇に叩き落とした。
「…ひ、っ…」
意識を失い、脱力した一方通行はまるで甘える恋人のように上条に身体を預ける形になる。
バードウェイは満足そうに腕をずるりと引き抜くと、浜面が着ているジャージのフードを引っ張り、自分と場所を交代した。
「今、この白いのの身体は『何をされても気持ち良くなる』ように魔術を掛けてある。上条もお前も、好きにして良いぞ」
何処からか上品なレースのハンカチを取り出したバードウェイが、腕を拭いながらそんな事を口にする。
確かに2人とも、股間は充分に温まってはいたが。
「…いや、俺もさ。一応普通サイズだから。んな腕ぶち込んだ後なんか、ゆるゆるになってんじゃねぇのかよ」
浜面はギリギリの単語を使い、バードウェイに質問をした。
「だからそれは飽くまでも『普通の物理法則』に従った場合だろう?」
にや、と形のいい口元を歪めた彼女は、一方通行の細い顎を指先で軽く上向かせる。
そして、色々な体液で汚れてしまった彼の頬をべろりと舐めた。
それすらも快楽として受け取ってしまう一方通行は、意識が無いにも関わらず身体をひくつかせてしまう。
「試してみればいいじゃないか。こいつもそれを望んでいるようだし」
「…っ、じゃあ」
上条は一方通行を俯せに寝かせると、制服のパンツを下げて自らの男根を露出させる。
普段なら常識だの何だのと口に出して場の収拾をはかる彼だったが、目の前にあるエロい餌を前にはただの青少年だ。
先走りをだらしなく垂らす先端を、半開きになっている一方通行の後孔に擦り付けると、白い背中がひくついた。
「…か、…っ、み…?」
どうやら彼は意識を取り戻したらしく、少しだけ頭を動かして上条の方を見た。
ただ、今更進みかけた腰を止められるわけもなく。
「…ごめん!」
ぬる、と上条自身が一方通行の後孔をこじ開けて進入していった。
「……ァ…!!!?」
また、脳が灼け付くような快感が走る。
先程の、バードウェイの腕とは異なる形のモノが、異なる角度で、異なるリズムで一方通行の腸内を抉っていた。
「きっつ…!」
「マジか」
「ほら上条、右手に気をつけろ」
残っていた粘液がピストン運動の度に空気を含み、泡立って下品な音を立てる。
「ェ、なン、?、…き、ひィ!」
一方通行は強すぎる刺激から逃れるために、何かに縋ろうともがく。
やっとのことで炬燵布団を掴んだが、目的は果たせなかった。
ただひたすらに、彼の口から垂れる涎を吸い取るということ以外では。
「もォ、やめ、っ!アタマ、アタマ、イカ、レ、……っ!!」
「嘘吐け。んなこと言う口は塞がなきゃな」
「…ァ、あ!?」
頭上から降りてきた声に一方通行が視線を返そうと顔を上げた瞬間。
浜面の男根が、喉の奥まで無遠慮に潜り込んできた。
「なんてな」
「…ヴ…ェっ…?!」
普通ならば、いきなりディープなスロートを強要した場合、吐瀉されたり咬み千切られても文句は言えない。
浜面も心の片隅で少しは覚悟を決めていたが、取り越し苦労だったようだ。
「…ン、…はふ、…むゥ」
反抗的な表情を見せたのはほんの一瞬で、すぐに甘い表情を浮かべた彼は、その舌を器用に使って咥内の肉塊を愛撫し始めた。
「…すげー顔」
「お前のソレが美味くて堪らないんだろう。いや、なかなか素質があるな」
バードウェイは一方通行の白く柔らかい髪を撫でた後、爪で彼の耳を優しく引っ掻いた。
判りやすいほどに一方通行の身体は反応し、咥えている二本の肉棒にもその刺激を伝えてしまう。
「ンンっ、ン、」
「あ、すっげー、締まる…!」
繋がった部分からだらしなく粘液を溢れさせながら、一方通行は与えられるが侭に快楽を貪り続ける。
今までに味わったことがない充足感が脳を満たすせいで、一方通行は今、抵抗する気すら起きてこない。
「…ン、っ」
口の中で膨張した肉塊の先端にある割れ目を舌でなぞり、ちゅ、と吸い上げる。
「そ、それ…!!」
反則じゃね?と浜面の口から漏れる前に、先走りの量が増え、ひくひくと痙攣が始まった。
「ほら、欲しいのならばきちんとおねだりしなくてはなぁ?」
バードウェイの細く華奢な指が、同じく華奢な体躯の一方通行下腹部に伸び、慎ましやかな男根に絡みつく。
「は、ァ、っ!?」
根元から先端まで。
まるで牛の乳を搾るように扱き上げられたせいで、彼の脚はがくがくと震え始めた。
絶頂に行く寸前で彼女の愛撫は止み、根元をきつく締め付けられる。
「上条、もう少し乱暴にしてやれ。この手の奴は激しくされるとそれはそれは悦ぶからな」
「…乱暴って、」
上条は言われるが侭に、腰の動きを早めてみた。そのせいで粘膜の摩擦が激しくなり、繋がっている部分がこれまで以上に熱を持つ。
「が、ェっ!!」
「はは、あったけー」
肌同士がぶつかる音と、粘液が絡む卑猥な水音が一方通行の羞恥を煽った。
口を塞がれている為に上手く呼吸が出来ず、頭が回らない。
だと言うのに下半身は前も後ろも限界まで虐め抜かれていて。
正気を保てと言う方に、無理がある。
「…ふ、ら、…はィ」
「うん?」
男根を咥えながら喋るせいで、まともに発音が出来ていない。
バードウェイは耳を寄せて、一方通行の懇願に聴き入っていた。
「…おれ、ろ…、らは、ィ…、…へーえひ、…いっはィ…」
肝心の隠語がきちんと言えていないのが減点対象ではあったが。
「…まぁ、及第点か」
「てか、んな喋られたら…、っ!」
舌と歯の細やかな刺激のせいで、まず浜面が絶頂した。
「ン、ぶっ!」
粘ついた液体が咥内を満たすので、窒息しないように身体を震わせて数回に分けて飲み下す。

その時に、下腹部にも無意識に力が籠もってしまったらしい。
「…え、あ!?いきなり…!?」
上条も一方通行の中で、絶頂した。
「ひ、ィ!!」
身体の一番奥に、他人の粘液が排泄された感触。
不快なはず。
不快でなければならない感覚が、別の感覚として一方通行の脳を襲う。
「…や、ァ、…ひ、もひ、…いィ…!!」
口から浜面の遺伝子の塊を垂らしながら、一方通行も静かに絶頂した。
とろ、と。彼と同じくらい白い粘液が、糸を引いて床に落ちる。
「ほう。これがジャパニーズトコロテンか。面白いモノが見られたな」
バードウェイは至極満足そうな表情を浮かべると、一度欲を吐き出して悟りを開きかけている浜面を突き飛ばした。
そしてその、真っ黒なタイツを膝下までずり下げたかと思うと。
「だが、私はまだ満足していないぞ?」
と、たっぷりと布地が使用されたスカートを捲り上げた。
しかしそこにあったモノは、年頃の少女に見られる慎ましやかな割れ目などではなく。
先程の少女の腕よりも太く凶悪な、男性器だった。
「ははははは。流石にこのサイズでは裂けてしまうかもしれんなぁ?まぁ安心しろ。他のモノには戻れなくなる程度に可愛がってやる」
天使のような外見の少女が、醜く勃起した赤黒い性器を一方通行の頬に撫でつける。
そして、まずは涎と精液をだらしなく垂らしている口の中を蹂躙しようと近づけた瞬間。


「そこまでです、ボス」


落ち着いた成人男性の声が響いたかと思うと、部屋の中に満ちていた甘い空気がたち消える。
そして。
「…えェ…?」
「え?」
「へ??」
今の今まで乱れていた少年達三人は、つい先程までと変わらぬ出で立ちで炬燵に入っていた。
「くそ!なぜこれからと言う時に邪魔をしたマーク!!」
「主目的を見失っていたからです。と言うか私にも見えるように術式を組むのは止めて下さい」
バードウェイが先程造っていた部屋のレプリカは、マークによって滅茶苦茶になってしまっていた。
「…交ざりたかったのか?」
「誰がそんなことを言いましたか。時間が押しているときに遊ぶなと言っているんです」
「…あのー…」
目の前で理不尽な上司に常識を説いているマークに対して、上条が手を上げて質問をする。
「もしかして、今のって…」
「…淫夢を見せる魔術です。巻き込んでしまい、すみません」
「まぁ私が本気を出せば現実にしてしまうことも可能だがな?いやいや、なかなかどうしてイイ具合だったぞ」
ケタケタと笑うバードウェイの表情は、まさに悪魔と形容するに相応しい。
「にゃあ。終わった?」
フレメアは微かな足音を立てながら浜面に近付くと、定位置である胡座の上に腰を下ろした。
が。
「…?…なんかかたい…」
「!!!」
浜面は今までにないほど素早く、かつ安全にフレメアをカーペットの上に下ろすと、すっくと立ち上がって前傾姿勢のまま無言でトイレへと逃げ込んだ。
「(…あいつ…!!)」
部屋の主である上条はその行動の意味を知っている。
置いていかれたフレメアは、きょとんとした表情でテーブルの上に顎を乗せていた。
対する一方通行は、無言。
上条からは頭に手を当てているように見えたので、念のため声を掛けてみた。
「…あー…一方通行?…頭痛いんなら薬飲むか?」
いくら夢だったとは言え、先程しっかりと合体してしまったのだ。
正直、気まずくて堪らない。
「…そォだなァ」
一方通行は静かに、本当に静かな声で上条に返事をした。
「今俺ァなァ、ひっさびさにヤベェとこまでキてンだわ。この辺一帯焼け野原にしたくねェなら近付くな」
端正な顔にはいくつも青筋が浮かび、テーブルの上に置かれている彼の握り拳は、力が籠もりすぎて白くなっていた。
電極の小さなランプが緑色に点っていることから、恐らく脳内の様々な物質を抑えているのだろう。
上条がそう結論づけたところで、一方通行が更に言葉を続けてくる。
「あァ、後からあの無能力者には死ぬより辛ェ目に遭ってもらうからよォ。お前も便所でナニしよォなンて考えンじゃねェぞ」
ぎく、と上条の身体が硬直する。
正直、上条の下半身は浜面と同様にしっかりと元気になっていた。
最近どたばたと色々な事情があったせいで発散できていなかったモノが溜まっている状態だ。
幸いにも、炬燵布団というカバーがあるおかげで、一方通行以外の人間にはバレていないらしいのだが、彼はこう思わずにいられない。

「(…不幸だー…)」







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