「あ、リフレク」
「やってみます?俺もまだなんすよね」
カードを翳して、コインを入れて。
お互い初プレイなので、エントリーに時間がかかる。
例えばUDX。
例えばゲーセン。
例えば、彼のこと。
全て、俺の方が後から知ったので背中を追い掛けてばかりだ。
「そーだ、賭けゲームしません?」
「賭けぇ?」
だからこうやって、同じスタートラインに立てることを、とても嬉しく思う。
彼には多分、伝わっていないだろうが。
「何賭ける?大したもん持ってねーぞ」
「あー…」
少し言葉を濁す。
一番最初に思い浮かんだ言葉を一度否定する。
それでも他に思い浮かばなかったので、口に出した。
「…自分自身、とか」
少しの沈黙の後、デュエルは顔を上げる。
少し、驚いたようだった。
「…なんだそれ。変なこと言うなよ、鉄」
優しく笑いながら、俺の提案をばっさりと切り捨てる。
わかってたんだ、こうなることは。
「よくあるじゃないっすか。負けた方が言うこと聞くとかそーゆー奴」
「なるほどな。よし乗った」
少し泣きそうになりながら、店内対戦コマンドを選んでゲームを開始する。
あぁ畜生。
いつになったら追い付けるんだ。