目の前で、愛しいヒト(と+1)が踊っています。

「珍しいね、今日はDDR?」
「あぁ、なんかハマってんだと」
音ゲーの順番待ちの為に用意されたベンチに座りながら、識と話をする。
「そんな君は?」
「無理無理、あーいうゲーム超苦手」
「へぇ、どおりで。ジルチと一緒なんて珍しいと思ったんだ」
「……」
「あんなに汗かいて。風邪引かなきゃ良いけど」
俺が無言にも拘わらず、識は話を続ける。
「さて、時刻は午後11時45分です。そしてお客は君達だけ」
目の前の二人に目をやると、ギリギリまで粘ろうと財布から銀色の硬貨を取り出していた。
「最終手段を使わなくて済むように、手伝ってくれるかな」
「…イエッサー」


「…さみぃ」
「そりゃ、あんだけ汗かいて着替えなかったらな」
ゲーセンから追い出された後、夜の歓楽街を歩く。着込んでいるとは言え寒くて当たり前だ。
「風呂寄ってくか」
「もう閉まってるだろ、銭湯」
「誰が風呂だけっつった?」

俺が指した先には、所謂。
「…、何考えてんだよ!」
「風邪引くよりマシだろ、行くぞ」
「おい!!」
「テメーがフェロモン撒き散らすからわりーんだよ」


なんてことない、冬の日。

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