彼の体温は、酷く高い。

「…っ、冷てぇ!」
幾度となく繰り返された行為のために慣れた手つきで服の中を探っていると、腹の下にいる可愛い人からクレームを受けた。
「んー?」
「お前の手だよ!惚けてんじゃねぇ」
「気のせいだって、ほら。マジあったけーお前の腹」
「だから冷てぇっつってんだろ!」
ぺたぺたと、確かめるように脇腹から下腹部へと手を進めていくと、今度こそ力づくで行為の続行を阻止された。がしりと掴まれた手首から、暖かな体温がじわりと移動してくるのが判る。
人肌が恋しくなるような寒い夜だというのに、なんて連れない奴なんだ、と思った。「指、温まるまで触んな」
「何時間後だよそれ。お前が暖めてくれれば済む話じゃね?」
ほら解決、と口元をにやつかせて彼の手を放すと、今度は首筋に触れた。
やはり温度差が堪えるのだろう。小さな悲鳴と共に、びく、と派手に身体が跳ねた。「(あー、エロい)」
ムラムラと下半身に集まる血の動きを意識しながら服を脱がしに掛かると、往生際の悪いことに二回目の制止が掛かった。
「…んー?」
「…………あー、その」
少し頬を赤らめさせて、何やら言いにくそうに口を動かしているデュエルに目線を向ける。じ、と暫く見ていると、意を決したように口を開いた。

「風呂、入らねえ?…一緒に」
「………」

まさか、まさか。斜め上の嬉しい展開が彼方からやってくるとは思わなかった。
いや、彼としては俺に体温を奪われることを懸念しての提案なのだろうが、一緒に風呂というのは純粋に嬉しかったりする。
「入る」
「よし、じゃあ準備する」
即答すると、デュエルはそそくさと服を直す。少しだけ残念に思っていると、彼は思い出したように口を開いた。
「…言っとくけどな、ニクス」
「ん?」
「風呂場でエロいことすんなよ」
「………」
まるで一緒に風呂に入ったら毎回そういった行為に及ぶようなデュエルの口振りに、濡れ衣だ、と言ってやりたくなる。
なので些細な意地悪として。
「え、俺普通に入るつもりだったけど。お前そんなエロいこといつも考えてんの?」
にや付きながらデュエルの髪を撫でると、健康的な肌色の顔が真っ赤に染まった。「な、バッカじゃねぇの!?勘違いすんな!」
「あーはいはい。早く風呂入ろうなー」
「聞けよ!」

お風呂場プレイ、決定。


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