新年、明けましておめでとう御座います。

「…ぁ〜…、…眠ぃ〜…」
「飲みすぎなんだよ、強くねーくせに」
世音での新年会が終わり、解散と言う頃になり。デュエルが酒の飲みすぎで立てなくなってしまったため、俺がマンションまで送る羽目になった。
一度断った俺に「え、だってニクスってデュエルの彼氏だろ?」というエレキの爆弾発言が投下され、阿鼻叫喚と化した世音から逃げるようにしてデュエルを引き摺ってきたのだ。
明日からのフォローをどうしようかと頭を悩ませながら、マンションの部屋に入り、寝室のベッドに寝かせる。
水でも飲ませようと思い部屋から出ようと踵を返すと、く、と服の裾を掴まれた。
「んだよ」
「…服、脱がせろ」
場所は寝室。
お互い、適度にアルコールが回っている状態。
そんな事を言われて理性をきちんと保てるかと言われれば、答えはノーだ。
「誘ってんのか?」
言われた通り、デュエルの服を一枚ずつ脱がせていく。少しだけ汗ばんだ肌を触ると、温かかった。
俺の問いに答えることはなく、無言のまま顔を逸らす。
ベッドにのし掛かり、顎を掴んで無理矢理こちらを向かせると、キスが出来そうなほどの至近距離でもう一度問い掛けた。
「な、誘ってんの?」
俺の痛んだ金髪が、デュエルのすぐ横にぱらぱらと落ちる。少し動くだけでベッドが軋む音がする。
薄暗い部屋の中、お互いの距離が近すぎて、呼吸すら意識してしまうほどだった。
デュエルはそんな俺の目をじっと見つめて、それから首にゆっくりと腕を絡めてきた。
「…」
無言の時間を肯定として受け取ると、一気に下半身に血が集まる感覚がある。
そのまま勢いに任せてデュエルの唇を奪うと、口を開けさせて舌を絡ませた。
弱々しく伸ばされたデュエルの舌を吸い、俺の舌で歯列をなぞる。
キスをしながら下着の中に手を差し込むと、既に固くなり始めているデュエル自身があった。
先端を指で撫で、鈴口から溢れてくる先走りを指に絡ませて玩ぶだけで身体が跳ねる。
濡れた、粘着質な音が耳に入ると更に興奮してしまう。
唇を離して、伸びた唾液の糸を舐め取る。デュエルは真っ赤な顔をして身体を起こすと、今度は俺を押し倒してきた。音を立ててベッドが軋み、俺の太股の辺りに体重を感じられる。
俺が適当にはだけさせた服を煩わしそうに全て脱ぐと、今度は俺の服に手を掛けてきた。
「…、喉渇いた」
「水持ってくるか?」
耳まで赤いデュエルに声を掛けると、小さく首を横に振る。
「こっち、飲む」
「は?」
デュエルは珍しく満面の笑みを浮かべると、体勢を変えて俺の股間に顔を埋めた。下着の隙間から俺の性器を取り出し、生温く湿った舌を這わせる。
「…はは、すっげーかてぇ」
嬉しそうな声を上げて愛撫を続けるデュエルの様子は、エロいということを通り越してなんと形容すればいいのかわからない。
時々小さな声を上げながら、アイスキャンディを頬張るようにくわえ込む。
「どスケベだな、お前」
「…んー、…暑ぃ」
会話が成り立っていないあたり、アルコールはデュエルの脳のかなり奥深いところまで浸透しているらしい。
録画でもしてやりたいと思いながら、うっすら笑みまで浮かべて痴態をさらけ出している様子を見続けた。
「…あ、」
「ん」
我慢することなく、デュエルの口の中に射精する。思ったより随分量が多かったらしく、飲み下した後尿道に残っている分まで吸っていた。
少し時間を置いて、デュエルは身体を起こすとそのまま仰向けに倒れ込んでしまった。
脱がせ損ねていたジーンズのファスナー部分から、色が変わってしまった下着が見える。
「口に出されてイッてんのか?マゾにも程があんだろ」
「…、るっせ…」
纏われていた衣服を総て剥ぎ取り、床に放り投げる。それからベッド横にある小さなテーブルの引き出しから、薄いゴムの膜と人工的な潤滑剤を取り出すと、自分のものに取り付けた。
「マゾついでに自分で準備してみろよ。見てるから」
「……マジ、かよ〜…」
弱々しく抗議をしてくるものの、嫌がってはいない。潤滑剤を手に取り、デュエルに垂らす。
少しぎこちない手つきで潤滑剤を指に絡ませると、デュエルは自分を慰め始める。
ここまで従順に従われると、逆にむっちゃくちゃにしてしまいたくなる。
俺の二回目の臨戦態勢が整っても、デュエルはまだ準備をしていた。時々茎を扱き、先端を指で撫でる。
垂らしすぎて余った潤滑剤が、臀部を伝ってシーツにシミを作っていた。
「もったいねぇな。ちゃんと使えよ」
溜まった潤滑剤を指に絡ませると、そのままデュエルの中に挿し入れた。急な刺激のせいか、デュエルの背中が跳ね上がる。
「…あ?…、…指…、…?」
甘く蕩けた声で、突然の刺激に対して抗議してくる。指の数を増やし、根元まで呑み込ませるときつく締め付けてきた。
だらしなく口の端から涎を垂らしながら、本来なら排泄器官である場所を探られて快楽を貪るその姿は、はしたないと言う以外にどう形容すればいいだろうか。
デュエルの先端からは既に白い液体が糸を引いて垂れている。
絶頂が近いと言うことなのだろう。
「…あ、ちょ、…んな、奥…」
絶え絶えに喘ぎながら、デュエルは首を横に振る。俺は指で少しずつ、感じる部分を探し出す作業に入った。
「……っ!…っひ…、…!」
少し探った所で、悦い場所に当たったらしい。明らかに反応が変わり、高い声が部屋に響く。
「……あー、…ここか」
細かく前後運動を続け、その部分を刺激していると、派手に震え始めた。デュエルは自分自身を慰めることも忘れて、俺からの刺激に身を任せている。
そんな、素直で可愛いデュエルが絶頂に達する寸前で、指を引き抜いた。
ぬる、と、透明な糸が、俺の指とデュエルの中を繋ぐ。
与えられ続けていた刺激が無くなったせいだろうか、一瞬状況が理解できない、という表情を浮かべていた。
「ほら、マゾでスケベなデュエルさんよ。欲しいんなら自分ばっか気持ち良くなってちゃダメだろ?」
「………?」
呆然としているデュエルの身体を引き寄せ、すっかり蕩けた部分に俺自身を打ち込んだ。
ゴムの皮膜も手伝ったのか、殆どなんの抵抗もなくぬるんと飲み込まれる。
一度収まりかけた快楽が、突然激しくなった刺激に耐えられなかったらしい。デュエルは身体を一度大きく強張らせると、下腹部を自分の液体でべったりと汚してしまった。
「…な、…てっ…め…!」
「すっげーきついな、中」
腰の辺りに快感を感じながら、デュエルと俺の境界線がどんどんあやふやになるように掻き抱く。
指よりもずっと体積の大きいものに無理矢理押し広げられて、快楽と同じくらいに圧迫による不快感もあるのだろう。
たまに、苦しそうな声も聞こえてきた。
「…辛そーだな。抜くか?」
気遣うように声を掛けると、デュエルは弱々しく首を横に振る。
「…別に。…辛く、ねーし…」
尋ねれば、デュエルが強がることを解っていてわざと言う。
予想通りの反応が返ってきたことに満足すると、抱き起こして腹の上に乗せる。
「じゃー、動いてくれるよな」
俺が寝転がり、デュエルを見上げる。汗と涙とアルコールで真っ赤になった顔は、本当に可愛らしい。
ほんの一瞬戸惑ったような表情を浮かべたが、直ぐにまた蕩けた表情に戻り、ゆっくりと腰が動く。
勿論そんな不安定な体勢で身体を支えることなど出来ないから、俺の頭のすぐ横に手を付いている。
「…ほら、…きもち、いーれすかよ」
「んー…」
デュエルは本能的に、自分の負担にならないように腰を揺らして、快感を得ている。
確かにそこそこ気持ちは良いが、我を忘れるほどの快感ではない。
なので。
「もっと腰振れよ」
デュエルの腰を両手で掴むと、何の手加減も無しに突き上げた。
オモチャを手に入れた子供のように、壊れる寸前まで腰を揺らす。
「…っ、…あ…!」
疼くほど熱を持っている部分を激しく刺激されて、耐えられるわけがない。
デュエルの腕は自分の身体を支えることも出来なくなり、俺の上に倒れ込む。
「…こんくらいじゃねーと」
すぐそこで吐息のような喘ぎ声を溢している唇を俺の唇と重ね、舌を絡ませる。
少しだけ、エグい味がした。
「…マジ、…覚えて…っ、ろよ…」
「はは、…忘れる訳、ねーだろ」
怒気を孕んだ眼で睨まれても、今の状態では可愛いだけだ。
激しすぎる刺激で、脳が熔けてしまったらしい。デュエルはすっかり大人しくなってしまい、小さく可愛らしい声を上げている。
腰の動きに緩急をつけると、その小さな声にも緩急がつく。
そんなことを数回も繰り返していると、デュエルはまた身体を強張らせ。本日三回目の泥を吐いた。
少し粘り気を失った液体は俺の臍の辺りまで垂れ、ひくひくと痙攣している。
「…っ、…ひ…」
度々の絶頂で体力を消耗しきってしまったらしく、デュエルはもう呼吸をするだけで精一杯のようだった。
流石にこれ以上責め立てるのも気が引けたので、ゆっくりデュエルの腰を持ち上げた。
ぬるんと性器が抜け落ち、また小さな声が漏れる。それから少しだけ、不思議そうな顔をされた。
「…何だよ」
「………」
奥歯に物が挟まったように、口の中をモゴモゴさせている。
「何だって」
俺がもう一度尋ねると、耳まで真っ赤にして。
「……イッてねーだろ。…お前」
デュエルなりに、多少は気にしてくれたらしい。
別にそこそこ気持ちも良かったし、出さないからと言って死ぬわけではないのだが。
「…まぁ、…イッてねーけど。…何」
「…半端に、手加減すんな」
「?」
言葉の真意を理解することが出来ないままでいると、緩慢な動きでデュエルは身体を起こす。
そして、まだ勢いを保っている俺のモノから、ゴムの皮膜を外した。
「…出すもんは、出せっつってんだよ」
顔を真っ赤にして気まずそうにしながら言い放ったデュエルを見て、また少し元気になってしまいそうになった。
デュエルはそんな俺の心の機微など知らん顔で、唾液を垂らすとまた丁寧に舌と口で愛撫を始める。
時々聞こえる水音が、酷く卑猥に感じてしまう。ぬるついた唇で先端を吸われると、それだけで達してしまいそうになった。
緩い快楽でぼうっとする意識の隅で、うっすらと考える。
「…なぁ、さっきのって」
「ん?」
デュエルが俺のモノをくわえながら、蕩けた表情で見上げてくる。
たったそれだけのことで俺は呆気なく絶頂に達してしまい、その可愛らしい口で受け止められなかった分の白い液体は、デュエルの顔面をべったりと汚してしまった。

一瞬、無言。

「…中に出せってことか?」
「……!!」
顔面をべっとりと汚し、見た目はどこぞのAVのように淫らになっているのだが。
数回絶頂に達したせいでかなりアルコールが抜け、酔いが醒めたらしい。
今の自分の状況を素早く理解した後、先程まで以上に顔を赤くした。
「…そんなこと言ってねーし」
「嘘吐け。テメーから迫ってきたんじゃねーかよ。新年早々」
「…ウソだろ?」
「ワタシウソツカナーイ」
「…!」
素面の状態であれば、此方から土下座で頼み込みでもしないかぎりそんなことをしない男が自分から嬉々として抱かれたのだから、それは恥ずかしいに違いない。
羞恥に身悶えるデュエルなんて。
新年早々、良いものを見たと思う。
「…忘れろ。…くっそ。…マジ最悪」
「ついでにもう一個」
真っ赤な顔のままこちらに背を向けてしまったデュエルに、声を掛ける。
「皆にバレたから」
静かな声で言うと、今度は真っ青な顔でこちらを向く。
「……なんで」
「エレキにバレてたみたいでよ。暴露された」
「…」
突っ込む気力も失せてしまったらしいデュエルの肩を抱いて寄せる。
「…年賀状出すか。『結婚しました』みたいな」
俺の腕の中で一気に落ち込みでもするかと思ったが、意外にも明るい言葉が返ってきた。
「…そーだな。…今年はもー、これ以上のことも起きねーと思ってやっちまうか」
デュエルが、吹っ切ったように子供のように笑う。
「…今年も1年宜しくな」
「あぁ、宜しく」



一月上旬、深夜のこと。
相変わらずの、甘くて暖かい時間だった。






第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
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