オレに乗れねー波はねぇええっくす!! | ナノ
「やっば……入り口どこだろう…」

きょろきょろとあたりを見回し、イナズマジャパンの入場口を探す。
やばいよやばいよ道に迷ったなんて言ったら監督に殺される…!! 私まだ生きてたい、そう思いながら探すが、まったく見つからない。

「(やばいどうしよう、もうすぐ開会式はじまっちゃう…!)」

そのとき、顔にどんっという衝撃がはしり、私は尻餅をついていた。「わぶっ」どうやら誰かとぶつかったらしい。慌てて鼻をおさえながら「す、すみません!」と謝る。

「あ? …なんだ、お前?」

「…!」聞きなれない低い声。上を見上げると、ジ・エンパイアのキャプテン、テレス・トルーエが私を見ていた。

「ごっ、ごめんなさい!」
「え、いや…」
「怪我とかないですか大丈夫ですか痛いとことかありませんか」
「…おい、人の話を」
「うわわわわどうしようこれから大会だっていうのに本当ごめんなさい!」
「だから人の話を聞けお前」

テレス…さん、が私と目線をあわせるようにしゃがみこみ、「俺はなんともねェから、落ち着け」と言う。わ、わたしジ・エンパイアのキャプテンとお話してる…!
「お前こそ怪我とかないか?」「な、ないです大丈夫です!」慌てて答えると、テレスさんがニッと笑って「そうか」と言った。
瞬間、どきんと胸が高鳴る。

「ほら、」

立ち上がったテレスさんが差し出した手を「あ、ありがとうございます!」と言って掴み、立たせてもらう。

「ほんとすみません! わたしイナズマジャパンのマネージャーなんですけど、入場口がわからなくて…」
「イナズマジャパンの入場口? それなら向こうの方だろ」

テレスさんが指差す方向を見ると、円堂たちがこっちに向かって手を振っていた。大きく手を振り返し、テレスさんの方に向き直る。

「あ、あの…わたし、名前って言います。このお礼とお詫びは必ずさせてもらいますので!」
「ンなもんいらねーよ。それより早く行った方がいいぞ。もうすぐ入場だ」
「は、はい!」

「ほんとにありがとうございました!」ぺこりと頭を下げ、円堂たちの待つ方へ駆け出す。

「次会うときは迷うなよ、名前」

後ろから聞こえた声に、私は走りながら振り返って「はい、テレスさん!」と返した。




(どうしたテレス、えらく上機嫌だな)
(面白い奴に会ってな。イナズマジャパンとの対戦が楽しみだ)



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dear.ケツアゴさん