オレに乗れねー波はねぇええっくす!! | ナノ
一之瀬一哉は、ユニコーンが誇る正真正銘の阿呆である。

「名前ー」
「名前っ」
「名前!」

「ウザい」私がそう言うと、土門は苦笑して「まあそう言ってやるな」と言った。

「そんなこと言うけど土門、一之瀬にトイレにまでついてこられそうになったことある?」
「…そ、それはないけどよ…」
「でしょ?」

なぜああも一之瀬は私につきまとうのか…それはきっと今世紀最大の謎に違いない。
「とか言って、ほんとは嬉しいんだろ?」土門がニヤッと笑って言った。「っはぁ!!?」慌てて土門を睨むと、土門はニヤニヤ笑って私を見ている。

「ほんとは好きなくせによー」
「なっ…ち、違うし!」
「隠すな隠すな。誰にも言わねーからよ」

まるで悪戯っ子のような笑顔を浮かべる土門に脱力。そうだった…こいつ意外とSなんだった…。

「なんの話してんの?」
「うわぁお!?」

後ろから聞き慣れた声が聞こえて、私は思わず大声をあげた。
「ひどいなーその反応」そう言いつつも笑い声が聞こえる。

「私はあなたみたいな人しりません」
「なに言ってんの。俺だよ!」
「誰だよ」

後ろを向かずに言うと、ちょうどマークが「カズヤ! ちょっと来てくれ!」と一之瀬を呼んだ。
「今いくよ!」それじゃあね、名前!、と言って一之瀬がマークの方へ駆けて行くのを見つめる。

「もうちょっと素直になりゃあいいのに」

土門の呆れたような言葉に、私は小さく「うるさい」と返した。




女好きで変態で馬鹿でサッカーのことばっか考えてる阿呆だけど、私にとっていちばん大切な人なんです。



********
dear.空ちゃん