源田のためなら死ねる。 | ナノ
「まったく…」

彼の部屋へと続く廊下を早歩きで進む、今は丁度十時半、すでに他のメンバーはグラウンドで練習を始めている。そんな中どうして私が一人で屋内にいるかと言うと、先程皆が集まって監督を待っていると、流石円堂君といったところか、彼は不動がいない事に気が付いたのだ、私は不動に興味なかったので全く気が付かなかった。他の皆も円堂君に言われて気が付いたのか「あぁ」と呟いて周りをキョロキョロと見ていた。しかし不動は何処にも居なくて、これから練習をしないといけない皆に探させる事もできないので、監督命令で私が探す事になった。秋ちゃんがいるじゃないかと思ったがマネージャーの仕事が大変らしいので私になった。

「ええと…不動の部屋はここだっけ」

扉の前で足を止めて響木さんから借りた鍵を鍵穴に差し込んで右方向に回した、一度鍵をぬきドアノブに手をかけて下に動かした。しかしがちゃ、と音をたてただけで扉は開かなかった。まさか不動、いつも鍵しないで寝てるの…?危ないなと思いつつもう一度鍵を差し込み今度は左にまわした、がちゃりと鍵が開く音がしたので扉を開いてずかずかとベットがある部屋にむかった。

「不動!何練習サボってるのよ…あれ?」

しかし私の視界の中に不動は居なくて時計の秒針が進む音しか聞こえなかった、右にあるベットへと視線をむけると、その上には私が必死に探していた人物が気持ち良さそうに眠っていた。人が必死に探してたのに何コイツ…ベットの横に移動して不動の寝顔をじぃっと見つめてみた。コイツ黙っていればかっこいいのに、何であんな事言うんだろう…。私の手は自然に不動の顔へと向かっていた、後少しで触れるというところで布団の中からでてきた手に引っ張られた。

「ちょっ」

そのまま私は布団の中へとダイブした、急に起こった出来事に私の頭はついていけてない。目の前には先程私がか、かっこいいと思っていた不動の顔があった。しかも腰にはしっかりと手がまわされており、逃げることが出来ない状態になっていた。

「寝込みを襲うなんていい度胸だなぁ?なまえちゃんよぉ」
「襲ってなんかないし、離してよ!」
「嫌だ。」

そのまま不動は私を自分の胸に抱き寄せると先程と同じように規則正しい呼吸音をたてて眠りはじめた。私は抱き枕じゃないっつーの!無理矢理起こそうと思って足を少し後ろに引こうとしたら不動が何か小さな声で呟いていた、聞こえにくいので耳をすましてみた。


「好きだ…なまえ」


いきなりの告白



20100829 来莉様へ 覚