デモーニオが究極なんだぜえぇぇっくす!! | ナノ
口内炎出来た、って晴矢に言ったら大爆笑された。うっわ失礼にも程があるぞ!仮にも彼女なんだから、大丈夫か?とか心配してくれても……ってコイツにそんな事求める方が可笑しい話か。

下唇の裏の、時々歯が当たるそこに出来てしまった毒々しい色の炎症を鏡で確認してため息ひとつ。


「塗り薬ねぇの?」

「舌触りが気持ち悪いからあの薬嫌い」

「ガキかよお前」


晴矢よかマシだけどね、と呟いたらどういう意味だよって睨みつけられた。まぁ全然恐くないんですがね晴矢さんよ。大体どういう意味も何も、この前風邪ひいた時に薬飲みたくねーだのお粥じゃなくてハンバーグ食いたいだのとうるさかったのは誰だ、このお子様舌め。

勝ち誇ったように笑うと丁度裏側に口内炎のあるところををグリグリと指で押された。痛い痛い痛い!歯が当たる!


「酷い!恋人虐待!でぃーぶい!」

「ZZZ、DVが何の略がわかってんのか?」

「バカにすんなよ!ドメスティック・バイオレンスだよ」

「は?ドラマティック・バイオレンスだろバカじゃねーの」

「バカは晴矢だよ!何さ劇みたいな暴力って!」

「そっ……そりゃあ本気で暴力振るってる訳じゃねえんだからドラマティックで合ってんだろうが!」


どもった。今絶対どもった!いっそ間違いを認めなさいよバカ晴矢。と一々指摘してたら間違いなく収拾がつかなくなるので、晴矢より大人な私が折れてあげることにした。

でも本当に実際問題痛くて適わない。昨夜は晩ご飯だったオムライスの上のケチャップによる猛攻撃で、結果半分しか食べられなかったのだ。これはなんとかして治したい。だから晴矢に相談してみたのだけど……。


「やっぱり風介君とかヒロト君に訊けば良かったか……」

「なっ、なんでそうなるんだよ」

「だって晴矢、バカなんだもん。せめてネットで調べるくらいの頭脳があればなぁ、」

「いや、俺でもネットくらい使えるし。つーかZZZ、お前本当に俺の事好きなのかよ」

「え、何?晴矢ったらそんなに私に好きって言って欲しかったの?もー可愛いんだからー」

「だから何でそういう話になるんだよ馬鹿ZZZ!」


撫でるな!と怒られたけどやっぱり恐くないので天辺のチューリップ……みたいな髪型を崩さないように頭を撫でる。と、ふとアレが口内炎に効くってテレビかなんかで聞いたなと思い出した。


「アレは?メープルシロップ」

「それを言うならハチミツだろ」

「いやぁハチミツは無いからメープルシロップで代用しようかと」


患部にハチミツを塗ると良いとか聞いたけど流石にないからちょっと前にホットケーキにかけた褐色の蜜の入った瓶とスプーンを台所から取ってくる。

うわぁ……恋人からの視線がものすごく突き刺さる。いいじゃん!花の蜜か木の樹液かの違いでしょ。


「とりあえず試しに!ね?」

「……ちょっとこっち向け」


言われた通りに晴矢の方を向けば唇を相手のそれで塞がれた。何でまたいきなりキスなんか、と思っていたら口の間を割られて赤く腫れている部分を舐めあげられた。

え……ちょっと。


「大人しく薬を塗らねー罰だバーカ」



それは薬じゃない!



憎たらしく舌を出しながら満足げな顔をする晴矢を見て、口内も心臓もつきつきと痛む。あーあ、やっぱりおとなしく薬塗ろう。




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