雨乞い少女




昼休み、つい先日付き合い始めた彼女と昼食を食べていると、窓にぽつぽつと雨が当たり始め、それは次第に強くなり、今は酷い土砂降りになってしまった。この調子じゃ部活も休みだろうか、そう思いげんなりしている僕とは対照的に彼女は幸せそうに鼻歌を歌いながら窓の外のまだ当分止みそうにない雨を見ていた。


「雨、好きなのかい?」
「うん、リーフくんは嫌いなんでしょ?」


言ったことも無いはずなのに彼女が知っていたことに驚き、目を見開くと、その意味が通じたのか、彼女は笑いながら、顔に出てるよ、と言った。僕はそんなに嫌そうな顔をしていたのだろうか。


「でもなんで嫌いなの?」
「ほら、湿気で髪の毛がふくらんでしまうだろう?」
「そう言われれば確かにいつもよりぼわっとしてる気がする。」


ぼわっとって、それ気にしているんだけど、という意味を込めて苦笑いをしたら、でも私はリーフくんの髪の毛も好きだよ、なんて不意打ちで言われて少しだけ顔の温度が上がるのを感じた。


「じ、じゃあ君はなんで雨が好きなの?」
「秘密、ってナシ?」
「ナシだね。」


だって僕は嫌いな理由を答えたのに君が言わないのは少しズルいからね。と笑ってみると、彼女は少し唸ったあとしぶしぶ頷いた。


「私が雨を好きな理由はね、リーフくんと一緒にいられるから。」


視線をそらし、少し顔を赤くしながらそう言う彼女に僕の胸は鼓動を早めた。どうやら今日は不意打ちが多いらしい。


「あ、別にかまってくれないとかそういう意味じゃないいの。サッカーしてるリーフくん、すごく格好いいし‥」
「わかってるよ、じゃあ今日は僕の家にくる?」


今日は親も夜まで帰ってこないしね。と、さっきのお返しとして耳元で囁くと、彼女はさっきの比にならないほど顔を真っ赤にした。


「あれ?顔真っ赤だよ。」
雨乞い少女
(ははっ冗談だよ、今日どこ行く?)
(‥いいえ、リーフくんの家、行きます。)


  for 愛華さん





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