甘党の暴走劇
※デスタさんには家があります
最近ずっと暑い日が続いている。とは言ってもそれは人間の感覚なわけで悪魔にとっては痛くも痒くもない程度の暑さで、一応備え付けられてあるクーラーも俺が住んでいる間は多分一生使われることは無いだろう。‥無い、はずだ。何故クーラーが作動している?
「デスタさーん、何飲みますかー?」
「んあ?俺はいちご牛乳‥」
「え、デスタさんもしかして甘党ですか?かわいいとこあるんですね」
きゃっきゃっと笑いながらそいつは俺が俺のために買ったいちご牛乳のパックを2つ持って俺のところへ来た。一つ確認したい、俺はこいつを家にあげたか?答えはノーだ、あげるわけがない。だがこれでクーラーがついている理由はわかった、犯人はあいつだ。頭が痛くなってきたのもあいつのせいだ、絶対に。
「お前、なんでここにいんだよ。」
「アラクネスちゃんに頼まれたんです。」
「アラクネスに?」
「デスタさんにご飯作ってやれって。」
アラクネスのやつ、こいつに料理が出来るとでも思ってんのか?逆にそれ食って腹こわしたらどうしてくれんだ。
「今アラクネスちゃんに失礼なこと考えましたね?」
「お前に対してだ。」
「デスタさんがツンデレだってアラクネスちゃんから聞いているので傷つきませんよ。それより、はい。」
どん、と音をたてて置かれた皿には山盛りにある物が盛られていた。その結果俺の頭痛が酷さを増したことは言うまでもない。これなら料理が出来ないほうがまだマシだ。
「なんだこれは。」
「特製夏野菜スパゲッティです。」
「俺の冷蔵庫にこんな材料は無かったはずだ。」
「アラクネスちゃんもそう言っていたので買ってきました。」
アラクネスの野郎後で絶対潰す。つかなんであいつ悪魔のくせに人間のこいつと仲良くなってんだよ。
「ふざけんじゃねえよこんなもん、野菜なんて俺はぜってえ、食わねぇ。」
「野菜も食べなきゃ身体こわしますよ。」
「ハッ、悪魔がこんなことで身体こわすわけねーだろ。」
「じゃあいちご牛乳もいりませんよね?」
「なっ‥」
俺が固まったのがそんなに面白かったのか、そいつは腹を抱えて笑い出した。
「ちょっとデスタさん、そんな絶望的な顔、しないでくださいよ。本当に顔に似合わず甘いものが好きなんですね。」
まだ笑い続けるそいつに、俺は笑われたのが癪に障ったのと、せわしなく動くそいつの唇が上手そうだったのとで、そいつの肩をつかんで唇にかぶりつき、少し深めにキスをしてやった。
「ああ、甘いもんはすげえ好きだぜ。」
「ででデスタさん今何を?!」
甘党の暴走劇
(味見くらいでうるせえ奴だな)
(私のファーストキス返して下さい!)
for きじょたん