お昼時ラブショック





5時間目の授業ってたいていの人はぼーっとしてたり睡魔と戦ってたり、諦めて夢の中だったり、とにかく悪い意味で静かだ。国語の先生はもうおじいちゃんで注意もされないからなおさらみんな堂々と寝てたりするわけで、教室の半分以上の人が顔を机に埋めている。

そんな空気にながされて、私もお昼寝組に加わろうかと思ったところで少し離れた席の半田と目が合った。隣の席のマックスに何か耳打ちされると半田は顔を真っ赤にした。その様子を見て思わずくすりと笑うとそれに気づいたのか半田は私の方を見て口を動かした。


[みんな寝てるな]
[お昼ご飯後だしね]
[お前も眠い?]


口パクでの会話って案外難しい。今の会話をするのに何度聞き返したり聞き返されたりしたんだろうか。でも、そのめんどくささが今は楽しくて私たちは必死に相手の口の動きを辿った。

[お前ってさ、好きなやつとかいんの?]


またマックスに耳打ちされたかと思うと、半田はさっきまで国語の先生の話をしていたというのにいきなりひどく答えづらいことを聞いてきた。半田の顔が真っ赤になっていることからマックスに言えって言われたことくらいわかるんだけど、好きな人にそんなこときかれたら私の顔もあつくなるわけで、それを見たマックスは声を出さずに笑っていた。


[いるよ、半田はいるの?]


聞き返されたらたまらないし、追求されてもこまるのでゆっくり、でも半田が口を挟む隙をつくらないように行った。


[いる]


まさか即答だなんて想像もしてなくて私が口ごもることになった。そりゃあ中2だしいるだろうな、とは思ってたから別に意外じゃない。だけど、多分マネージャーかな、なんて考えると心がツキンと痛んだ。


[マネージャー?]
[違う]
[じゃあだれ?]

「半田くん、何をパクパクしているんですか?」


最悪なタイミングだと思った。いつもは携帯を弄ってたって滅多に気づかないのに先生は半田の口パクに気づき、あろうことか注意をした。


「いや、別に‥」
「授業も聞かないで、まったく君はなんなんだね。」
「ああもう先生、邪魔しないでくださいよ。」
「君、先生に向かって邪魔とはなんだ!」


時計を見れば授業もあと5分、とりあえず授業が終わったらマックスと一緒に半田の好きな人でも聞きに行こうかな、なんて思っていると半田は大声でとんでもない爆弾をおとしていった。


「だから俺はあいつに好きだって言いたかっただけなんですってば!」


さされた指は間違いなく私に向けられていて、さっきまで騒がしかった教室が一気に静まった。



お昼時ラブショック
(ははは、半田?)
(好きだ、付き合ってほしい)



  for しおりん






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