「暇だから遊びに来た」


エアコンがガンガン効いてる部屋のソファでうとうとしながら携帯を弄くっていたらピンポーンという音がして、
そういえば、今一人なんだっけ、とソファから体を起こして玄関に向かった。順番に鍵を開けてって最後の鍵
に手を伸ばしたところで「どちら様ですか?」と聞いた。「私だ」「だから、どちら様ですか」「私だと言っている
だろう」「私さんですか?すいません、家間違えてません?」と言ったところで少し静かになった。「涼野だよ」
「いや、分かってたけども」「じゃあ、さっさと開けろ」まったく、ここで騒いでいても仕方ないので家に入れて
やる。「お邪魔します」きちんと靴を揃えて家に上がる。礼儀だけは正しいみたい。


「で、なにしに来たの」


ここで冒頭のセリフに戻るわけだ。悪びれた様子もなく淡々とわたしが用意してやった冷たい麦茶を飲みな
がら、淡々と言う。率直に言おう。「宿題教えてください」「やだね。大体この流れでそれ言うのか」「読唇術
でも使えるのか」「長い付き合いだろう」ほんとうに何しにきたんだこの人。


「ここならアイスが食べれると思ったから」

「もう読唇術はいいから」

「早く持って来い」

「生憎、わたしの分しかありません」


風介に見せびらかしてやろうと冷蔵庫まで行き、カップのアイスを取り出しフタを開けて再び風介の所に戻る。
スプーンでアイスをすくい目のまで食べてやる。「んー、美味しい」呆然としていた風介はすぐに我にかえると
「よこせ!」と飛びついてくる。慌てて逃げようとしても、もう遅い。手首を掴まれてしまっては逃げることも食べ
ることも何も出来ない。


「ちょっ、なに、して」

「アイスを食べようとしている」

「これ、わたしの、」

「別に構わないよ」


そういうと、わたしの手からアイスとスプーンを取って食べ始める。数分たったかたたないかの短い時間でペ
ロリと平らげてしまった。もし、ここに晴矢が居たら「お前ら間接ちゅーしてやんの」とか笑いそうだ。本当に、
いなくてよかった。分かってることを言われるのって恥ずかしいもんね。それに、風介と二人きりっていうのも
嬉しいし。


「ごちそうさま」

「一口も残してはくれなかったのね、ってどこに行くの」

「宿題、教えてほしんだろう?」


早くしないと教えてやんないからな。と、わたしの頭をくしゃりと撫でてから、まるで我が家のように階段を登っ
ていく。くしゃくしゃになった髪の毛を触りながら熱くなった頬を覚ますため、わたしはエアコンの温度を下げた。



(Dear.柚瀬さんへ)


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