OneFourZeroShortShort

*診断メーカーのお題ったーで出たお題に従ってTwitterで書いた140文字SSのリサイクル



◆貴方はカナタマで『もう一度、恋をしよう』をお題にして140文字SSを書いてください。

記憶を失った君が俺を好きだと言ってくれたことも一緒に逃げてくれたこともなにもかも覚えていないって分かっているけど、君が昔みたいな笑顔を向けてくれる度に、また俺を好きになってくれないかなぁなんてつい過ぎたことを望んでしまうんだ。勝手に想わせてくれればいいとか言ったくせにね。ごめんね。


◆カナエへのお題は『願うのはただ一つの永遠』です。
◆カナタマへのお題は『生きている理由なんて、そんな』です。

あのとき一緒に逃げようと言って差し出された君の手を取った瞬間、ああ、これが永遠だって思ったんだ。あまりにも幸せすぎてもうこのまま死んでしまってもいいやって本気で思った。いままで散々汚いことをしてまで生きてきたくせに変だよね、と、カナエは幸せに慣れていない顔で笑う。

死ぬなよと言うとキョトンとした顔で見返してくる。おまえが死んだら俺が悲しいだろそれはおまえの生きる理由にはならないのかよ、とぶっきらぼうな声で続けると、カナエはやっぱり死にたくないやとへにゃりと笑い、俺をぎゅっと抱きしめてきた。さっきのもう死んでもいいって台詞、取り消してもいい?


◆カナタマへのお題は『世界ごときに、渡してたまるか』です。

この世界に俺達が平穏に暮らせる場所なんてないのかもしれない。まるで世界に拒まれているみたいだと呟くと、タマキ君はムッとした顔で俺を見て「そんな世界なら俺はいらない。おまえがいる世界が俺の世界だ」と言った。俺はありがとうと微笑んで、でも俺が死んでも君には生きていてほしいなと思った。


◆貴方はトキタマで『大人になって、それからどうするの』をお題にして140文字SSを書いてください。

好物のオムライスを作ってやると、一口食べて美味しいとぱっと破顔する。おまえって本当に可愛いなぁと言いながら頭をポンポンと叩くと、子供扱いすんなとムッとされた。じゃあ大人扱いしたらどうなるのと何気なく訊ねると赤くなって黙り込み、バカ、と上目遣いに睨んできた顔は子供じゃなかった。


◆カナタマへのお題は『嫌い、って言ってよ』です。

どうして自分の体を大事にしないのどうしてもう拘束されてる訳でもないのに逃げないでここにいるのと訊ねるとおまえが好きだからだよと言われた。狂った淫らな目。ああ、いっそ俺のことを嫌いって言ってくれればいいのに。君のことを決して嫌いになれない俺は、ただ君から目を逸らすことしか出来ない。


◆トキタマへのお題は『物語をもう一度』です。

タマキがカナエのことを忘れられなくて今でも大切に想っていることは分かってる。もしかしたらもう二度とカナエ以外の人間を愛したりなんてしたくないのかもしれない。けれどそれでも、これから自分と一緒に新しい物語を紡いでいってほしいという、タマキにとって残酷かもしれない願いを捨てられない。


◆貴方はカナタマで『何を今更、』をお題にして140文字SSを書いてください。

心臓に爆破装置を付けられてる俺なんかと一緒にいて怖くないのと訊ねると、タマキ君は何を今更という顔をして、知らないところでおまえが死ぬことのほうがよっぽど怖いよと言った。嬉しくて、多少激しい運動しても爆破しないみたいだよ、と言いながら押し倒してみたら、調子に乗るなとデコピンされた。


◆アマカナへのお題は『君とは、幸せになれないから』です。

くらやみにも速度があり、もしかしたらそれは光よりも速いのではないか?ーーそう書かれた小説を読んだとき、もしかしたらアマネは光よりも速いくらやみのスピードで進んでいたのかもしれない、とふと思った。光すら追いつけない彼の世界。けれど俺はその孤独に背を向け、タマキ君という光を求めた。


◆貴方はカナタマで『美しい終わり方』をお題にして140文字SSを書いてください。

もうスパイとしてやっていけないことに気付いたとき、ああ、最期はタマキ君に殺されたいなと思った。母さんに似た面差しの、俺と血の繋がった君に殺されたい。俺の人生にどうしようもなく関わってほしい。幸せな未来を夢みる方法なんて知らない俺は、それがたったひとつの冴えたやりかただと信じた。


◆トキオミへのお題は『覚めた夢の続き』です。

眠っていたのはほんのわずかな時間のはずなのに、その間にやけに長い夢を見ることがたまにある。ミーティングルームで転寝していた今がそれだ。はっと目を覚ますと見下ろしてくるコバルトブルーの瞳と視線が合った。起きたのか。見たら分かるでしょ。夢の余韻が台無しだと思いながら俺は舌打ちをする。

やけにボンヤリしているが夢でも見てたのか。ああ、見てたよ。察しが良すぎてイラっとする。両親がいる夢。セイラとヒサヤがいる夢。みんな楽しそうに笑ってる夢。つまりは現実とは真反対の夢。あまりにも幸せな、現実の手触りが濃い夢だったから、起きてしまってからもまだ夢だったなんて信じられない。

まあそんなこと絶対説明しないけど、と思いながら黙ってたら目の前にコーヒーカップが置かれた。なにこれ。とりあえずこれ飲んで目を覚ませ、まだおまえに処理して欲しい書類が山程ある。ちょっとこき使いすぎでしょ。夢の内容を追求してこないところが気が利きすぎて嫌味だな、と思いながら一口飲む。

目を覚ませとか言うわりに砂糖とミルクがたっぷり入っててカフェイン弱そうだし。ほんとムカつく。おまえ起きてるときとは違って寝顔は素直そうで可愛いんだな。ああほんとムカつく。だけどほんの少しだけなら甘やかされてやってもいい。マスターの淹れるコーヒーほどじゃないけどまあまあ美味しいよ。


◆あなたは『記憶喪失になって好きな人の名前しか思い出せない』カゲミツのことを妄想してみてください。

目を覚ますと驚いたような顔で俺を見下ろしていたヒカルが不意に泣きそうに顔を歪めた。どうやら頭を撃たれた俺は半年間眠ったままだったらしい。医者からは場所が場所だけに記憶にも障害が出ているかもしれないと言われたが、今のところなんの問題もない。俺はカナエに撃たれたんだーーあの裏切者に。

家族のことも部隊のメンバーのこともちゃんと覚えている。キヨタカ、ヒカル、アラタ、ユウト、ナオユキ、……タマキ……? タマキ、って誰だ?
なあヒカル、と俺は訊ねる。タマキってヤツ知ってるか。なんか名前だけやたら頭に浮かぶんだけど、俺、誰のことだか分からなくて。ヒカルは一瞬息を飲む。

やがて、そんなヤツ部隊にいねえよ、とヒカルは笑った。突然なに言い出すんだよおかしくなったかと思ったじゃん焦った〜。そうだよな、と俺も笑い返す。変なこと訊いてごめんな。そう、そんな名前のヤツを俺は知らない。なのにどうして“タマキ”と口にする度、こんなにも切なく胸が痛むのだろう……?


◆あなたは『この人の為なら多分何でも捨てれる。この恋心ですら。って思ってる』カナエのことを妄想してみてください。

自分のために生きられないなら俺のために生きろ。そう言われたとき、嬉しくて嬉しくて、アマネの望むように生きようと思った。俺の所有物になれ、人形に感情は必要ないと言われたから、そうしようと思った。きっと彼への感情を恋と名付けさえしなければ、俺はずっとアマネの側にいられるのだと思った。


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