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さっきからずっと子供が泣き止まないんです。原因ははっきりしてるんだけどね、まあ悪気はないんだよほんとに。ただなんていうか小さい子にとっては怖いんだろうね。わたしの友達でも怖いっていう子いるし。あ、ちなみに今職場体験で幼稚園に来ています。


「お兄さんと一緒に…」
「うわぁああん!ママぁあああ!」
「ちょっ、待ってくれ!」


これで13人目。もう諦めて飾り作りなんかを手伝ったほうがいいと思うのはわたしだけ?いや、先生も確実にそう思ってるよね、明らかに笑顔が引きつってる。


「ドンマイ幸次郎。もう諦めなよ」
「俺はこんなにも子供が好きなのになぜだ…」
「見た目でしょうよ」




* * *




なんだかんだでこの日の職場体験を終えての帰り道。幸次郎はというとぐったりして完全に意気消沈モード。まああれだけ怖がられたら無理ないか。けどまだあと4日あるのにこの調子で持つかすごい心配なんですけど。


「そんなに落ち込まないで。明日には慣れてくれるよ」
「ああ、そうだといいんだが…」
「そうだってば、ほら元気出して!」
「…ああ、そうだな!明日こそ抱っこするぞ!」


また無駄に暑苦しくなった。今の状態のまま幼稚園に行ったら確実に明日も怖がられるのがオチだと思ったのは心の中にしまっておこう。ところでこのタイミングでわたしを抱きしめているのはなぜだろうか幸次郎。嫌な予感しかしないのはどうしてだろう幸次郎。


「練習させてくれないか?」
「何の」
「抱っk「よりも先にすることがあるよね?」…勿論だ」


幸次郎に黒い笑顔を向けてするりと腕の中を抜けた。抱っこより先にするべきことがあるでしょうよ。


「そんなに抱っこしたいならわたしが一肌脱いであげる。ハーゲンダッツおごりね」
「…手厳しいな」
「わたしと幸次郎の子供が生まれたときに困るのに比べたら安いものでしょ」


幸次郎は耳まで真っ赤にして固まった。

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